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新米ランパード監督が証明した手腕。
「失せろ!」と吠える強気さも魅力。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/08/01 09:00

新米ランパード監督が証明した手腕。「失せろ!」と吠える強気さも魅力。<Number Web> photograph by Getty Images

クラブのレジェンドが監督としても成功するのは意外と少ないパターンだけに、ランパード監督のチェルシー1年目は十分合格点と言える。

リバプール相手に「ほざくな!」

 高飛車と受け取れる言動があったのが、今季優勝監督で指導者としても格上のユルゲン・クロップのチームスタッフであっても、「ほざくな! 失せろ!」と言い放った。

 “Fワード”連発の言葉使いは、本人も「2人の娘を持つ父親」として反省していたように、褒められた行動ではない。しかし指揮官として、チームのプライドを汚した相手に立ち向かった行動に関しては詫びなかった態度は、チェルシーのファンにすれば「よくやった」と褒めたいところだろう。

 ランパードはサッリ体制下で失われたファンとの一体感を取り戻し、同時にクラブからの心離れが指摘されたオーナーの気持ちも引き戻したようだ。

 クラブは、合わせて推定8000万ポンド(約108億円)近い移籍金を払い、ハキム・ツィエクとティモ・ベルナーを、それぞれアヤックスとRBライプツィヒから7月中に獲得。レバークーゼンからは攻撃的MFカイ・ハベルツの獲得にも本気とされる積極補強ぶりだ。

 チームの改善点は、2位だがリーグ最多の102得点を記録したマンCに33点も及ばない得点力の向上だけではない。54失点はリーグ15位のブライトンと同数。CKから10失点は最下位で降格したノリッジに次ぎ、今季プレミアでワースト2の数字となっている。

「2強時代」に割って入るために。

 クラブは、指揮官がゴールマウスでの掌握力を疑問視するケパ・アリサバラガに代わるナンバー1として、A・マドリーの守護神ヤン・オブラクを筆頭に数名を物色中。最後まで正コンビが定まらなかった感のあるCBは、ウェストハムからボランチも兼ねるデクラン・ライスの引き抜きを狙う可能性もある。

 まだ21歳で、チェルシーでのアカデミー時代からマウントの親友でもあるライスの“買い戻し”に本腰を入れるようであれば、ランパード体制1年目の成果により、短期的視野で知られたチェルシー経営陣が、若手を使いながら育てる長期路線を本格的に進む覚悟とも理解できる。

 補強費用が嵩めば、結果へのプレッシャーは高まり、チーム内競争の激化により若手のハンドリングも難しくなる。今季プレミア強豪レベルでのチャレンジに挑む素養を見せたランパードが、来季、33ポイント差をつけられたリバプール、15ポイント差をつけられたマンCに、どこまで近づけるか?

 これは、「2強時代」が続くプレミアファンという観点から見ても非常に興味深い。9月12日に予定されている来季の開幕が、今から楽しみだ。

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