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監督は「ドリブラー」をどう扱うべき?
世界的指導者らのコメントを一挙公開!
text by
アントワーヌ・ブーロン&ティモテ・ピノンAntoine Bourlon et Thymote Pinon
photograph byAlexis Reau/L'Equipe
posted2020/07/12 09:00
ドリブルに絶大な自信を持つキリアン・ムバッペでさえ、試合中に何度も監督とやり取りしながらプレーを調整している。
「だが、ドリブルは、生まれながらの才能だ」
次は元日本代表監督であり、現在はモロッコ代表監督を務めるヴァイッド・ハリルホジッチ。現役時代はエレガントなFWとして評価の高かった彼は、ドリブラーを以下のように語る。
「相手のギャップを作り出し、抜き去ることができる選手が、チームには少なくともふたり――ひとりは中盤に、もうひとりは前線にいるのが望ましい」
「選手の多く――とりわけフランス人選手は、フィジカルにより多くの負荷がかかる他のプレーよりもドリブルを好む。だが、ドリブルは、生まれながらの才能だ。練習で磨きを掛けられるものではない。誰もアテム・ベンアルファから、どうすれば相手の逆をとれるかを教わることなどできない」
「ドリブルばかりをしないように理解させる。ドリブルはあくまでも違いを作り出すためであって、楽しむためではないことを。なぜならドリブルばかりする選手はチームメイトの反感や嫉妬を買いやすいからだ」
「彼らはスペクタクルのためにドリブルをするが、その考えは捨て去るようにする。実際に可能かどうかはわからないが、監督は最後まで彼らにそう言い続けるべきだ。
だが、だからといって、彼らにドリブルするなとは言えない。それは彼らを殺しかねない。天才を消滅させてはならない」
「明らかなのは11人のデシャンでチームは作れないし、11人のジダンでも作れないことだ。それぞれのラインの間に調和をどう保つかを考えねばならない。私はよく2人のMFをDFラインの前に置く。ひとりはポジションを保ち続け、もうひとりはボールを足元に置いて違いを作り出せるタイプだ」
「ドリブラーを勇気づけて自信を与える。決断の末に彼を最後まで使おうとしたときは、『自分には表現する権利がある、違いを作り出す権利がある』と思い込ませるようにする。試合前や試合中にそれをハッキリとさせておくことが、最後に勝利を得るためのコーチングになり得る」