フランス・フットボール通信BACK NUMBER
監督は「ドリブラー」をどう扱うべき?
世界的指導者らのコメントを一挙公開!
text by
アントワーヌ・ブーロン&ティモテ・ピノンAntoine Bourlon et Thymote Pinon
photograph byAlexis Reau/L'Equipe
posted2020/07/12 09:00
ドリブルに絶大な自信を持つキリアン・ムバッペでさえ、試合中に何度も監督とやり取りしながらプレーを調整している。
「そうであるからこそ監督はドリブラーに似ている」
まずはフランスのリーグアン所属のアンジェで監督を務めるステファン・ムーランの言葉から。
「ドリブラーは必要だ。何故なら彼らはコレクティブなプレーとは若干相反しているからだ。コレクティブな守備に直面してパスやチームプレーで相手を崩せないとき、ひとりの力でチームをいい方向へと導く選手が必要だ」
「ドリブラーがチームにいるときは、彼がドリブルするのをロッカールームで他の選手たちに理解させるようにする。どうしてなのか。それは誰もがその能力を持っているわけではないからだ!」
「ドリブラーたちを歪めてはならない。彼らは希少な存在なのだから。だからドリブル禁止はもっての外で、どうすればチームのためになるかを理解させる。彼らの頭の中に余計な問題を持ち込むべきではないし、そこで疑念が生じたら、ドリブルすべきかどうかを悩む間にプレーそのものの効果が失われてしまう。
あるゾーンではある種のことは避けるべきと教えながら、彼らの判断する能力を養っていく。それこそわれわれがジェフ・レインアデレード(オリンピック・リヨン、元アンジェ)やソフィアン・ブファル(サウサンプトン、元アンジェ)に対してやらねばならなかったことだ。彼らの例をあげたのは、ドリブラーはそうしたことに無頓着で、とくに若い選手には時間と経験が必要であるからだ」
「すべては直感的な問題であり、そうであるからこそ監督はドリブラーに似ている。(共通する)説明不能な何かがそこにはある。ときに人々はこう疑問を呈する。『どうして監督はあの選手をピッチに残したのか?』と。プレー続行を決めたのは、そうすべきだとの直感が働いたからに他ならない。そしてときにそれがうまくいく」