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甲子園未出場でも育成力で人気校に。
京都国際高の大器晩成ドラフト候補。
posted2020/07/10 17:00
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
中学時代に大きな注目は受けていなかった原石たちを鍛え上げ、甲子園未出場ながらNPBへ4選手を輩出している京都国際高校。申成鉉(元広島・現韓国プロ野球・斗山)、曽根海成(広島)、清水陸哉(ソフトバンク)、そして昨年のドラフトでは「高校生ナンバーワンの守備力」とNPBスカウトから高い評価を得た上野響平が日本ハムに3位指名された。
監督の小牧憲継(のりつぐ)氏は京都成章高校と関西大学で内野手だったこともあり、好内野手の輩出が多い。事実、プロに進んだOBの4人のうち、清水を除く3人が遊撃手だ。
しかし、今季は走攻守三拍子揃った外野手・早真之介(はや・しんのすけ)と、強肩強打の捕手・釣寿生(つり・じゅい)の「早・釣コンビ」がドラフト候補として注目を集めている。
甲子園へ行くことよりも、プロになりたい。
NPBへの輩出実績や小牧監督ら指導陣の評判も相まって、「プロを目指す」という理由で進学先に京都国際を選ぶ選手は増えている。早と釣もそれぞれ甲子園常連校の誘いを断ってでも、ここへやって来た。
「甲子園へ行くことよりも、プロ野球選手になりたいという気持ちが強かったので、“卒業後の進路のパイプがたくさんあって、プロも目指せる”京都国際に決めました」(早)
「中学3年の頃からプロを意識し始めていました。京都国際は“個”を伸ばせる環境なので決めました。(部員数があまり多くないため)全体練習を新入生含め誰1人抜けずに全員で出来ることにも魅力を感じました」(釣)
小牧監督が指導で最も重きを置いているのは「1人でも多く上の世界で通用する選手を育てる」ということ。「角を磨くよりもエンジンをデッカくしようということです」と表現する。
早と釣の2人も大きなエンジンを育てている真っ最中だ。
「まだ体を扱いきれていないので、これが末端の神経まで使いこなすようになれば楽しみ。ともに180センチを超える大型の選手なので時間はかかりますが、小さくまとめようとは思いませんでした」(小牧監督)