令和の野球探訪BACK NUMBER
甲子園未出場でも育成力で人気校に。
京都国際高の大器晩成ドラフト候補。
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2020/07/10 17:00
走攻守三拍子そろう外野手・早真之介(左)と強肩強打の捕手・釣寿生。
稲葉や栗山のような万能な選手に。
高校通算28本塁打の早は、滋賀野洲ボーイズの出身。高校入学直後は先輩たちのレベルを見て「ここではレギュラーを取るのがいっぱいいっぱいかな」と弱気になりかけたという。だが、「がむしゃらにやろうと思いました。試合に出ないといろんな人に見てもらえないので、まずはしっかり試合に出ることを意識して、何事も率先してやりました」と、めげずに取り組んでいくと1年夏から早くもレギュラーを獲得。
走っては50メートル6秒1の俊足、左投左打ちの特徴を生かした引っ張りを含む広角への力強い打撃、投げては140キロを超えるほどの球を投げられる強肩が武器だ。
小牧監督は「器用なので何でもヒットにしてしまうところはあるが、筋力がついていけばホームランをもっと打てていくはずです」と評し、将来像には稲葉篤紀(侍ジャパントップチーム監督)や栗山巧(西武)を挙げる。
城島や里崎のような打てる捕手に。
一方、高校通算25本塁打の釣は兵庫・姫路西リトルシニアの出身。1年秋に正捕手の座を掴みかけてから1度は失うも、冬の頑張りでその座を奪い返した昨夏は、京都大会決勝も早とともに経験した。
「先輩たちといい経験をさせてもらいました。“甲子園まであと一歩”というところで負けてしまったので、配球などをもっと深く自分で考えないといけないなと思いました」と悔しさを糧とする。また、「僕の野球で楽をさせてあげたい」と女手ひとつで育ててくれた母への親孝行の気持ちも強く持っている。
小牧監督は「ロマン型の捕手。肩も強いですが芯に当たった時の打球はエグいものがあります」と話し、城島健司(元ソフトバンク、マリナーズ、阪神)や里崎智也(元ロッテ)のような「スケールの大きい打てる捕手になって欲しい」と願いを込める。