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プロ野球「特例2020」が正式決定。
外国人増枠で有利になる球団は?
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2020/06/18 17:00
中日は先発タイプのロメロが長期離脱したことで、外国人5枠をすべて使うことができなくなった。
改訂に向けた動きができない理由。
「それは選手会を労組だとは認めていないからですよ。統一契約書の改訂を持ち出せば、すなわち認めたことになる。認めてしまえば、大リーグのように、何をやるにもお伺いをたてなくてはいけなくなります。お互い何も言わないまま、オフの選手との契約交渉では自然に(来シーズンの年俸が)削減されることになるでしょうね」
機構側は今でも「団体交渉」ではなく「折衝」と位置づける。だから改訂には永遠に動けない。ただ、試合数が減れば打席や本塁打、イニングなどあらゆる数字が減る。つまり査定ポイントが伸びないから提示額も減る。そうして総額を抑え込む一方、在京球団の幹部はシーズンの試合増を訴えた。
「今年の巨大な損失が1年で埋まるはずがない。5年、10年で少しずつ取り戻すには試合数を増やすのは1つのプランとしてある。といっても5試合ほど。10年でやっと50試合。もちろん感染が再び拡大すればそれどころではない。こんなことが2年続けば、それこそ球団を手放すところも出てくる。選手にも生活があるのは重々承知しているが、年俸削減もノー、試合増もノーで世論は納得してくれるだろうか」
労使交渉も統一契約書の見直しもままならず、火種を抱えたまま野球界は港を出た。球団はインターネット上で寄付を募る「投げ銭システム」など、新たな収入源を模索すべきではないか。選手会は多くの人が経済的に打撃を受けている世の中で、自分たちの暮らしの原資がどこにあるのかをもう少し理解すべきだ。無観客のスタンドにファンが慣れてしまったとき、日本プロ野球は存亡の危機に立たされる。6.19はより困難な戦いのスタートであり、ゴールなどではあり得ない。