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プロ野球「特例2020」が正式決定。
外国人増枠で有利になる球団は?
posted2020/06/18 17:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
2020年6月19日は、日本プロ野球が新たなスタートを切った日として記録される。選手が、球団経営者が、そして何よりもファンが待ち望んだ記念日だ。しかし、観客はなおスタジアムには入れず、報道各社も限られた人数だけが立ち入り、オンラインで取材している。
すべてを含んだ「新たなスタート」には、手放しでは喜べない部分がある。
開幕直前に定めた「感染拡大防止特例2020」では、今まで29人だった一軍登録を31人に増やし、同じく25人だったベンチ入り選手数も26人とする、延長戦は10回までなどの変更点が盛り込まれた。感染拡大防止というよりも、チームの活動自粛明けからの準備期間が足りなかった選手の負担を、多少でも軽減しようという考えである。
これらのルールには一定の説得力があるが、どさくさ感が否めないのが外国人選手の増枠だ。昨年までは4人だったのを5人に増やすが、ベンチ入りできるのは4人のまま。この変更により、得する球団と得をしない(損とまではいわないが)球団に分かれる。いかなるルール変更にも損得はつきものだが、影響がかなり大きい。
なおかつ、開幕2日前という決定時期にも首をひねりたくなる。有利、不利の分岐点は当然、優秀な外国人選手が5人以上いることだが、次に重要なのは「先発投手が1人以上いること」である。5人が一軍、ベンチには4人だと、誰か1人は外れる。先発投手は登板日以外はベンチを外れるので、より有効に作用する。
巨人、DeNAは「得する組」。
たとえばセ・リーグをみたとき、巨人に「5人ルール」を当てはめてみる。投手はR・デラロサ、A・サンチェス、C・C・メルセデス、T・ビエイラ、N・ディプランの5人。野手がG・パーラとI・モタの2人。「投手と野手、どちらかを4人にした場合はその後の変更は不可」という謎の制約(どちらかが3人のときは変更可!)があるため、投手3、野手2という配分になりそうだ。
ただし、サンチェスやメルセデスらは先発タイプだから、どちらか1人が一軍に食い込んでくれれば、デラロサ、ビエイラのリリーフタイプと組み合わせ、先発タイプが登板する日だけ、残り4人をベンチから外せば5人の外国人がフル稼働できる。
S・パットン、E・エスコバーにJ・ロペスやN・ソトといった強力外国人がそろうDeNAも完全に「得する組」だ。
先発にJ・ガンケル、O・ガルシア、リリーフにJ・エドワーズ、R・スアレスがいて、野手もJ・ボーア、J・マルテ、J・サンズと層が厚い阪神も、巨額の補強費が俄然、生きてきそうだ。ドミニカアカデミーをもち、安定した供給ルートがある広島もしかり。