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J中断、レフェリーはいま何を思う?
最年長51歳村上伸次の準備と流儀。
posted2020/05/28 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、中断を余儀なくされているJリーグ。緊急事態宣言が解除された地域では、すでに練習を再開したクラブが現れたが、首都圏を始めとした一部の地域では、いまだ活動を再開できないクラブも多い。
試合がないのは、何も選手だけではない。“試合の構成員”たる「審判」にとっても、厳しい状況下での毎日が続いている。選手とは異なり、チームに属さず、個々での活動が強いられる審判は、この状況下でどのような日常を送っているのだろうか。
副審を含めると日本にたった16人しかいないプロフェッショナルレフェリー(以下、PR)のなかで、最年長である村上伸次PR(51歳)にリモートインタビューを行い、現状とともに審判という仕事への矜恃、魅力、そして未来に迫った。
黙々とトレーニングに励む日々。
「リーグ戦が次々とスキップしている状態ですが、常にリーグ戦再開の時に合わせて個別でトレーニングをしています」
岐阜に居を構える村上氏はランニングや自転車での長距離走のほか、市内のグラウンドに出る日は短いダッシュを繰り返し、ボールにも軽く触れるなど、黙々とトレーニングに励んでいる。
「1人でやるのは寂しい? そんなことはないですよ。むしろ誰にも縛られず、自分のリズムでできることは一番のメリット。デメリットは怠けようと思えばいくらでも怠けられることですね。でも、僕は年齢もあって、3日休むと、体を戻すのに1、2週間かかってしまう。さらに今はリーグ戦開催中の2、3日休むとはちょっと違う意味合いになってくるので、そこはかなり気を使って、常に体を動かすことを意識しています」
村上氏のトレーニングには主に体力や筋力の維持に重きを置いたメニューが多く見受けられる。それは審判が90分間、目まぐるしく変化する選手たちの動きに常に目を配っていないといけないからである。
試合がない時間が続くと、その動体視力や感覚の鈍化も起こってしまうのではないか、それを予防するトレーニングもしているのかと問うと、意外な答えが返ってきた。