“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
児玉駿斗、“早すぎる内定”から2年。
理想はヤットさんのように「楽しむ」。
posted2020/05/12 11:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「東海学園大学のMF児玉駿斗、2021年新加入内定のお知らせ」
この発表が名古屋グランパスの公式ホームページに上がったのは、今から2年前の2018年3月29日のこと。当時、大学2年生になろうとしていた児玉の“早すぎる”プロ内定には驚きの声が上がった。
「オファーをもらった時は自分でも『え、早くないか?』とは思ったのですが、決断することには悩みませんでした。もちろんこの決断によって、賛否両論が出て、騒がれるだろうなとは思ったのですが、純粋にもっと上手くなれるんだったら、そっちを選んだほうがいいと思えたんです。僕にとってこれはそれほど重い決断ではありませんでした」
児玉の予想通り、周囲からは「Jリーグはまだ早い」、「もっと選択肢を広げた方がいいんじゃないか」、「(クラブ)に入るまでに監督やフロントが変わったらどうするの?」などネガティブな意見が多く耳に入った。
「正直、『そりゃそう言いたくなるよね』と思ったのですが、純粋に自分にベクトルを向けた時に、僕がずっとサッカーを続けている理由は『90分間をより楽しむために自分がどこまで上手くなれるか』だと改めて思ったので、そういう声は気にしていませんでした」
名古屋入りのタイミングは後悔していない。
大学2年の2018年4月7日のJ1第6節の北海道コンサドーレ札幌戦で特別指定選手として、名古屋でプロデビューを飾ると、この年はリーグ8試合に出場し、うちスタメンは4試合と躍動。
しかし、大学3年となった昨季は怪我の影響で思うようにプレーできず、プロの舞台では5月のルヴァンカップに1試合出場したのみに留まった。その間、風間八宏監督が解任され、マッシモ・フィッカデンティ監督に代わるなど、置かれる環境にも変化があった。
大学4年生となった今季は、新型コロナウイルスの影響で東海学園大サッカー部も活動休止に追い込まれており、現在は大阪の実家で過ごしているという。
「あのタイミングで名古屋入りを決めたことに後悔はしていませんし、決断してよかったと思っています。もちろん風間さんのサッカーは魅力的で、僕自身学ぶことがたくさんありましたが、結果が出なければプロの世界で代えられるのは当たり前と思っていたので、そこまでの驚きはありませんでした。マッシモのサッカーには守備面や縦へのスピードなど自分に必要なものがたくさんあるので、そこでいろいろ感じて幅を広げたいし、自分がサッカーをする上で一番好きな『相手の逆をとる』プレーの引き出しをもっと増やしたいと思っています」