“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
本田圭佑を象徴するプロ初ゴール。
マラドーナに学んだ強烈な自己主張。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/04/28 11:50
プロ初ゴールを決めた4月28日東京ヴェルディ戦。本田圭佑のキャリアを予期させるゴールだった。
記憶に刻まれるゴールの数々。
本田のキャリアを振り返ると、どのゴールも勝負どころで挙げた価値あるものばかりだ。人々の記憶に叩き込まれるインパクト絶大のものばかりなのが、その凄さを物語っている。
プロ2年目の'06年にはジュビロ磐田戦で公式戦初披露となる無回転FKを突き刺し、話題をさらった。'09年にはVVVの一員としてオランダ2部リーグでキャリアハイの16ゴールをマークし、1部昇格とリーグMVPを手にした。'10年にはCSKAモスクワでロシアリーグ開幕戦で初ゴールを決めると、チャンピオンズリーグ・ラウンド16のセビージャ戦ではクラブ初のベスト8進出を決める無回転FKを突き刺した。
日本代表でのゴールは多く語る必要はないだろう。'10年南アフリカW杯ではチームをラウンド16に導いた2ゴール、'18年ロシアW杯でも途中出場したセネガル戦で貴重なゴールをあげた。
今年から所属するボタフォゴ(ブラジル)では、またもやデビュー戦で初ゴール。アジア、北米、南米、欧州、オセアニアの5大陸のリーグでゴールを記録した史上初の選手となった。
「簡単にいくことは俺はやらない」
昔の言葉を見れば、現在の本田がいかに一貫しているかがよくわかる。
「俺は別に特に無理しているわけじゃないし、挑戦することは俺にとってはごく普通のこと。何でも難しいことが当たり前やから、簡単にいくことは俺はやらないです。うまくいかなければいかないほど、凄い力が湧いてきて、やりがいが生まれるんです」
彼の発する言葉、哲学はすべてこれまでの経験に基づいている。その中の1ページにあの東京V戦のゴールがある。
マラドーナのように、勝負どころで強烈な自己主張をすることの重要性を知り、それを具現化し続ける。今もなお、ピッチ内だけではなくピッチ外でも彼の発想と練りに練った自己主張が世の中にインパクトを与え続けている。
それが何事にも全力で挑戦する本田圭佑という男の本質である。