“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
本田圭佑を象徴するプロ初ゴール。
マラドーナに学んだ強烈な自己主張。
posted2020/04/28 11:50
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
2005年4月28日、勝負所でことごとくゴールを決める「これぞ、本田圭佑」が始まった。
J1第8節名古屋グランパスエイトvs.東京ヴェルディ。本田はこの試合でプロ初ゴールを叩き込んだ。
この年、石川の星稜高校から鳴り物入りで名古屋に入団した本田は、3月5日のジェフユナイテッド千葉戦でプロデビュー。クラブ史上4人目の高卒ルーキーとして開幕スタメン入りを果たし、華々しくキャリアをスタートさせていた。
東京V戦もスタメン出場した本田は、0-1で迎えた15分、右サイドに展開されたボールをDF李康珍と競り合いながらキープすると、エンドラインぎりぎりのところで再びプレスに来た李の股の下を通すドリブルで一気にカットイン。相手GKの位置、ゴール前の状況を確認すると、角度のない位置から自慢の左足を一閃した。
GKの頭上をぶち抜いたシュート。
この時、ニアサイドにはFWマルケスが、ファーサイドにはDF中谷勇介がフリーで構えていた。クロスを上げるのが正攻法と考えるだろう。
だが、彼はその予想を遥かに上回った。圧巻だったのはシュートコースだ。
本田がシュートを打つ瞬間、東京VのGK高木義成は右ポストの前に立ち、ニアの低いコースを消していた。となると、選べるコースは左足アウトフロントにボールをかけて巻くか、ライナー性の速い球筋で「ゴール左隅」を狙うしかない。
しかし、自信に満ち溢れた高卒ルーキーは、GKの頭上を抜く弾丸ライナーを突き刺したのだった。GK高木はなんとか反応するも、指先で触れるのが精一杯だった。
活躍を予感させる、印象深いゴールだった。