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早大駅伝チームは寮も完全に解散。
相楽監督「ゼロからスタートする覚悟」
posted2020/04/28 11:30
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Satoshi Wada
新型コロナ禍に際して、大学として全国でも早い対応を見せたのは早稲田大学だった。
2月27日には、2019年度の卒業式と2020年度の入学式の中止を発表(関西では立命館大が同日に同様の発表を行なっている)。ちなみに、この日12時時点の日本国内の感染者数は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」を除くと、まだ186人に過ぎなかった。
さらに遡ると、この3日前の2月24日に早大では体育会各部に、合宿など宿泊を伴う移動を禁止するという通達があった。合宿初日にして切り上げた運動部もあったという。
「正直、最初は慎重になり過ぎじゃないかと思ったけど、今思えばあの判断があったから、今のところ、体育会各部で感染者の報告がないのだと思います」
こう話すのは、競走部の相楽豊駅伝監督だ。
当然、駅伝チームにも影響はあった。
今季の主力の1人、中谷雄飛(3年)は翌日から実業団チームの合宿に参加するはずだったが、急遽取り止めに。3月には中谷と千明龍之佑(3年)がケニアで合宿を行う予定で、相楽監督も黄熱等のワクチンの予防接種も受けていたが、それも白紙に。また、毎年、千葉の鴨川で実施していた明大との合同合宿も今年は中止になった。
それでも3月前半はまだ、宿泊が伴わなければ部の活動が認められていた。競走部の合宿所は所沢キャンパス内の競技場から徒歩圏内にあり、学生たちは電車やバスなど公共交通機関を使わずに移動できたのも幸いだった。3月8日にはキャンパス内で早稲田大学長距離競技会が開催。次回の競技会は3月28日を予定していた。
「落ち着いたら、再集合しよう」
だが、ここから事態が急変していく。相楽監督が振り返る。
「その前日の27日の夕方に、全部の活動自粛を3日間行うという通達があり、結局、28日の競技会開催を見送りました。その後、一気に5月10日まで活動自粛の延長が決まりました。
その時点で緊急事態宣言が出されるかもしれないという話もあり、不安になっている学生も多かった。親御さんもかなり心配されていたので、30日の夕方の時点で、地元に帰りたいという学生は帰省させました。“状況が落ち着いたら、再集合しよう”と言って送り出しました」