箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
早大駅伝チームは寮も完全に解散。
相楽監督「ゼロからスタートする覚悟」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2020/04/28 11:30
相楽豊氏は渡辺康幸氏のもとで約10年間コーチを務め、2015年に駅伝監督に就任した。
「やっぱり限界がありますね」
当初は合宿所に残った者も数名いたが、状況は日々悪くなるいっぽう。そして大学の施設の使用も禁止になったために、結局は全員が地元に帰った。
現在、各選手がバラバラの場所で自主練習を行なっている状況だ。相楽監督は遠隔で指導に当たる難しさを口にする。
「練習環境がバラバラなだけでなく、地域によっては、外出を控えなければいけないところもあるようです。競技場が使えていた地域もあったのですが、緊急事態宣言が全国に広がってからは使用できなくなり、ポイント練習を行うにしても、ショートインターバルとか坂ダッシュとかしかできない……。
なので、僕らもこういう形でやったほうがいいよという目安を出したり、個別にメニューの相談に乗ったりはしていますが、選手みんなが手作りで練習をやっている感じです。
これまでは集団で練習していたので、1人で練習することに慣れていない者もいる。それに6月いっぱいまで試合がなく、ゴールが見えない状況にだんだんモチベーションが薄れてきている学生も出てきていて、正直、意識が高い者とそうではない者とに、差が出てきているのを感じています。やっぱり(自主練習には)限界がありますね」
それでも試行錯誤は止めない。
もちろん士気が下がらないようにと、様々な施策を試みている。
学生とのコミュニケーションは、個別に電話面談を行なっているほか、スマートフォンの体調管理アプリを活用。睡眠時間や体重、痛みのある箇所を記録できるだけでなく、メッセージの送受信もできるので、学生は細かく報告を行い、それに対して、相楽監督もフィードバックする。相楽監督は、主に午前中を学生とのコミュニケーションの時間に当てているという。