スポーツ百珍BACK NUMBER
Jでゴール荒稼ぎの外国人点取り屋。
番付にすると、横綱は誰になる?
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byToshiya Kondo
posted2020/04/04 11:40
東京V、浦和で活躍したFWワシントン。大きな体を生かしたフィジカル、そして軽やかなボールさばきが絶品だった。
“ブラジル横綱”は納得の選出。
年代で見ていくと、やはりというかJリーグ開幕当初や'90年代の選手名が多い。W杯得点王にも輝いた元イタリア代表スキラッチ、そしてオッツェやディアスという名前が並んだのは懐かしくもある一方で、当時の世界的な選手と日本の守備陣の差を感じさせる。
参考までに、昨季神戸に所属したダビド・ビジャの1試合平均得点は0.464(28試合13得点)。説明するまでもないがビジャはスペイン代表史上最多得点にW杯&EURO優勝、バレンシアやバルサ、アトレティコ・マドリーで得点を量産した。稀代のストライカーがこの数字なのだから、日本サッカーの進歩を感じるだろう。
ワシントンが“ブラジル横綱”となるのは、2000年代中盤のJを見ていた人なら納得してもらえるんじゃなかろうか。東京ヴェルディと浦和レッズの絶対的エースとして君臨したパワー系ストライカーがJ1リーグ戦で残した数字はこのようになる。
2005年:33試合22得点
2006年:26試合26得点(得点王)
2007年:26試合16得点
糖尿病や心疾患に悩まされたとは思えぬ屈強さと柔らかさ、フィニッシュでの落ち着きは、間違いなくJリーグ史に残るストライカーだった。浦和時代はもちろん、ヴェルディでのデビュー戦となったゼロックス杯で、那須大亮と中澤佑二(ともに横浜FM)を引きずってねじ込んだゴールは、今見ても戦慄を覚える。
スピードスターにも手を焼いた。
ワシントンがパワー型とすれば、スピード型の最強クラスはエジウソンとエメルソンだろう。
エジウソンは'96、'97年と2年連続で20ゴール超え。エメルソンは札幌、川崎を経て浦和に加わると、'04年に26試合27得点という破格の成績を残した。そんな両者の共通点は恐るべきスピードとともに、なかなかの問題児っぷりだったのも思い出深い。
柏はMFに範囲を広げれば、カレッカに始まりエジウソン、フランサ、レアンドロ・ドミンゲス、そしてクリスティアーノ……ブラジルの名手が常にいるイメージだ。
また浦和もワシントンやエメルソン、ポンテ、ラファエル・シルバといった面々の活躍によって、タイトルを得てきた。J3、J2と連続で得点王を獲得し、今季加入したレオナルドも、開幕戦のゴールを思い返せばその系譜を継ぐ素質がある。