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監督交代は堂安律を激変させる!?
悩める五輪世代エースの今を探る。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2020/03/30 12:00
板倉滉が所属するフローニンゲンとの対戦で、徹底マークされる堂安律。
欲しいのは「バリエーション」。
PSVに加入した直後にシーズン2桁得点というノルマを掲げたこともあって、「バリエーション」がほしいと考えたそうだ。
「右足で左足と同じ得点数を取るのは無理なので、例えば、左足で5点、右足で1点、ヘディングで3~4点取ることができればね、2桁に近づく。岡崎(慎司)さんを見て頂ければ、そんなに身長高くなくても得点している。本田(圭佑)さんは身長高い方だと思いますけど、本田さんもヘディングでよく点取るので見習っています。やっぱりバリエーションが多ければ多いほど、得点は取れる。そういうことは最近よく考えていますね」
このように堂安は、得点の「バリエーション」を増やすべく、日々頭の中で思考を巡らせているのだ。
よって、左サイドで出場したフローニンゲン戦で渦巻いた『どうやって点を取るんやろ』という疑問も、決して突拍子なものではなく、こうした創意工夫の範疇にあると言えるだろう。
しかし現状、右サイドで出場した時はカットイン対策を入念に施され、左サイドではなかなか「シュート・パターン」を見出すのが難しい。サイドでのプレーに、少し行き詰まっているところがある。そこで、思い切ってポジションを中央寄り、特にボランチに移しても良いのではないか。
来季、新監督でPSVは激変するだろう。
PSVでは、来季からロガー・シュミットが監督に就任することが決定している。かつてFCレッドブル・ザルツブルクやバイヤー・レバークーゼンを率い、強烈なプレッシング・サッカーで欧州を席巻したドイツ人指揮官だ。
シュミット監督の下で、PSVのサッカーはガラリと変わるだろう。ロングボールが主体で、セカンド・ボールの回収に重点を置き、敵のボールホルダーに対して選手たちは、ピストルから発射された弾丸のように次々とプレスを掛けていく。そしてボールを奪えば縦に早く攻めるスタイルの中で、選手たちは常にフルスロットルでプレーすることを要求される。
ウイング文化が根強いオランダでは異質に映るこのサッカーの中で、シュミット監督が実際に堂安をどのように起用するかは、来季になってみないと分からない。しかし過去、同監督の下でプレーした選手を振り返れば、ケビン・カンプル(ライプツィヒ/元レバークーゼン、ドルトムント等)が日本代表MFの今後のロールモデルに相応しいのではないか。