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監督交代は堂安律を激変させる!?
悩める五輪世代エースの今を探る。 

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本田千尋

本田千尋Chihiro Honda

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posted2020/03/30 12:00

監督交代は堂安律を激変させる!?悩める五輪世代エースの今を探る。<Number Web> photograph by Getty Images

板倉滉が所属するフローニンゲンとの対戦で、徹底マークされる堂安律。

「ボランチでのプレーは30歳超えてから」

 このスロベニア代表MFは、センター・ハーフ、もしくはボランチを主戦場としていた。カンプルは、中盤でゲームを作りつつ、ドリブルでボールを運び、両サイドにも流れてチャンスを演出する。もちろん2列目から飛び出して、積極的に得点も狙うプレーも見せていた。

 もし、来季の堂安がこうしたカンプルのような役割を担うことになれば……自ずと得点の「バリエーション」も増えていく可能性がある。2列目からゴール前に入っていくことで、ヘディングを狙う機会も増えるだろう。敵のDFにとって的が絞りづらくなれば、右サイドからのカットインも再び活きてくるのではないか。

 もっとも、中盤の底でプレーすることについて、昨年12月21日にホームで行われたズウォーレ戦の後で、堂安は少し否定的だった。先発した日本人MFは、後半開始から67分で退くまで、ボランチのポジションでプレーした。

「うーん……まだいいかな。ボランチでのプレーは、30歳超えてからでもいいと思います。今はイケイケの方がいいかな、と」

 しかし、それから3カ月が経ち、なかなか出場機会に恵まれない中、ようやく左サイドで先発のチャンスが回ってきたフローニンゲン戦の後では、「どのポジションでもやれることをやらないといけないと思います」と話している。苦境の中で、思考の変化があったのだろうか。いずれにせよ来季、シュミット監督がボランチにコンバートしても、堂安は受け入れるだろう。何より既にカンプルが示したように、新監督のサッカーにおけるボランチは、守備時のプレスも含め、前に果敢に飛び出していく「イケイケの」スタイルだ。

「ここを乗り越えて活躍している自分が……」

 もちろんまだ今季のエールディビジは終わっていない。オランダでも新型コロナウイルスの感染が拡大し続ける状況で、再開の時期は不透明。だが、無事に再びリーグ戦が始まれば、エルネスト・ファベル現監督の下、堂安は全力でプレーするだろう。 

 しかし、やはりスタイルが抜本的に変わるであろう来季のPSVのサッカーにおいてこそ、21歳の日本代表MFのさらなる進化の可能性は眠っているように思える。

 後半戦に入って出場機会に恵まれない中、2月8日のビレムⅡ戦の後で、堂安は「ここを乗り越えて活躍している自分が楽しみです」と話した。

 シュミット監督の強烈なプレッシング・サッカーは、オランダの名門で少し行き詰まっている日本人アタッカーを、次のステージへ誘うかもしれない。

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