プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の極端な阪神“ボーアシフト”。
効果を清原、松井の打撃論から考察。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/03/13 20:30
「バースの再来」、「バース2世」とも称されるボーア。阪神ファンからの期待は大きいが“シフト”をかいくぐれるか。
阪神戦で見せた“ボーアシフト”。
それは3月8日に甲子園球場で行われた阪神戦で見せた“ボーアシフト”である。
4回。先頭打者として阪神の新外国人選手のジャスティン・ボーア内野手が打席に向かうと、巨人の守備陣が動いた。
三塁を守っていた増田大輝内野手が左翼の定位置のあたりに移動すると、正規の外野手3人がそれぞれ右方向に移動して外野を4人で固めた。さらに二塁を守る吉川尚輝内野手が右翼の定位置から5、6mほど前へと移動して、遊撃手の山本泰寛内野手が二塁ベースの後ろを守った。
三遊間はガラ空きとなる変則シフトだ。
右方向への打球が圧倒的に多いプルヒッター。
実はこの守備シフトは2日前の同じく甲子園球場で行われた日本ハム対阪神戦で栗山英樹監督も試みたものだった。
「現実、どういう風になるか。動いておかないと、慌ててしまうケースもありますから。我々は敬意を表したと言うことです。左のパワーヒッター。プルの中のパワーヒッターと言うことですから」
原監督が説明したようにボーアはメジャー時代から右方向への打球が圧倒的に多いプルヒッターで、しかも飛球傾向の強いフライボーラーというデータがある。
その打球方向の分析からメジャーでも同様のシフトを敷かれるケースが多かった。
それを受けてのものだった訳で、この4回の打席ではセンターへの打球を左翼手のイスラエル・モタ外野手が捕球。
再度、シフトを敷いた6回の打席もショートへの飛球に打ち取り、シフトは2度とも成功した形となった。