サムライブルーの原材料BACK NUMBER
試合に出ずとも、腐らず雰囲気作り。
F・マリノス主将、扇原貴宏の流儀。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2020/02/29 20:30
今季のJリーグ開幕戦でキャプテンマークを巻いてプレーした扇原。マルコス・ジュニオール、同じポジションの喜田とともにチームを引っ張る。
サブの立場から自分のポジションを確立した。
実は2017年に移籍してきて開幕戦に出場したのは4年目にして初めてのことだった。つまり過去3年間、サブの立場からスタートして自分のポジションを確立していったということ。
昨シーズンもそうだった。同じボランチの喜田はポジションを争うライバルでもあり、リーグ戦で初先発したのは第8節のコンサドーレ札幌戦(4月20日)まで待たなければならなかった。
キャプテンを複数制にするなら別々のポジションにするのが普通なのかなとは思う。同じポジションだとちょっとやりにくいとも考えがちだが、彼らを見ていると要らない心配だと分かる。
自然体で年下の喜田を支える。
昨年のいつだったか、そんなニュアンスに近い話を喜田に振った際、ハハハと笑ってこう返された。
「確かにライバルと見られがちなんですけど、タカくんにはもう全幅の信頼を置いているんで。今は2人で(やり方の)道筋を立てて、周りの協力を得ながら進めています。
道筋をつけるのは僕らで、そこはキャプテンの役目なのかもしれないですけど、みんなで実行していくものですから。だから自分がリーダーシップを発揮しているとも思っていないんです」
喜田は扇原が先発で出ていなくても「このポジション(アンカー)は2人で支えていると思っています」と語っていた。
試合に出られていなかったら、「道筋をつける」にも精神的なパワーが必要になる可能性だってある。だが扇原にそこは関係ない。自然体でチームを、年下の喜田を支えていくことができる。