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ソフトバンク救援陣の奪三振率に注目。
ドラフトでも読み取れる王者の戦略。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKyodo News

posted2020/02/11 11:40

ソフトバンク救援陣の奪三振率に注目。ドラフトでも読み取れる王者の戦略。<Number Web> photograph by Kyodo News

甲斐野央を始め、高い奪三振率を誇ったソフトバンクのリリーフ陣。計画的なドラフト戦略が功を奏している。

即戦力が求められるリリーフの補充。

 リリーフ投手の短い選手寿命はドラフトにも影響を及ぼす。そのため、統一ドラフトになった'08年以降、リリーフの素質が見込まれた選手が数多く指名されているのだ。検証してみよう。

2008年
攝津正(ソフトバンク5位)、谷元圭介(日本ハム7位)

2009年
今村猛(広島1位)、比嘉幹貴(オリックス2位)、大谷智久(ロッテ2位)、増井浩俊(日本ハム5位)

2010年
澤村拓一(巨人1位)、福山博之(横浜6位)、中崎翔太(広島6位)

2011年
田島慎二(中日3位)、益田直也(ロッテ4位)、海田智行(オリックス4位)、嘉弥真新也(ソフトバンク5位)

2012年
石山泰稚(ヤクルト1位)、高橋朋己(西武4位)、公文克彦(巨人4位)

2013年
秋吉亮(ヤクルト3位)、三上朋也(DeNA4位)、岩崎優(阪神6位)

2014年
山崎康晃(DeNA1位)、石川直也(日本ハム4位)

 2015年以降は割愛するが、この流れは途絶えることなく現在まで続いている。

 リリーフの補充は緊急性を要するので即戦力が求められ、大学生と社会人が毎年のように指名されているのは過去のドラフトを振り返ればすぐわかる。

 昨年40イニング以上に登板したパ・リーグの日本人リリーフ投手は25人(次ページ参照)。大卒5人、社会人出身14人、高卒6人という内訳で、ドラフト指名順位は1位=5人、2位=5人、3位=4人(大・社ドラフト3巡目の青山、宮西含む)、4位以下=11人である。リリーフ投手の活躍が見込まれているのは、“4位以下の社会人”ということがここでわかる。

 この状況下で異色なのがソフトバンクである。高卒1位の高橋純平と大卒1位の甲斐野央がいる。リリーフの寿命が短いからすぐに使えそうな社会人をドラフト下位指名で補充するという対症療法ではなく、強力なリリーフ陣を作り上げるため計画的にドラフト戦略を練っている、という印象なのだ。

 40イニング以上投げたリリーフ投手の各種成績を記した別表を見てほしい。

【次ページ】 40回以上登板のリリーフ投手。

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福岡ソフトバンクホークス
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高橋純平
リバン・モイネロ

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