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吉岡里帆を育て、長嶋茂雄も活用。
阿部慎之助二軍監督「見られる効果」
posted2020/02/07 19:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
最近、あるベテランの芸能関係者からこんな話を聞いた。
「ほんの5、6年前はオーディションで東京に来るときも、地味な学生っぽい服装で夜行バスに乗って、宿代もないからカプセルホテルに泊まっていたんです。
でも次第に注目されて周囲の目が集まってくるに従って、どんどん洗練されていって、いい意味で容姿すら磨かれていった。いまは本当に女優オーラを放っていますね。しかも性格の良いところが変わらないのが一番いいです」
いまや押しも押されもしない若手人気女優の1人となった吉岡里帆の話だった。
見られることによって綺麗になる。注目されることによってスターへと輝いていく。
「何でもどんどん書いてください」
実は偶然にも球界で同じことを唱えていたのは、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督だった。
「メディアのみなさんに書いていただき、注目されることで選手は成長するものです。ファンから見られて、選手はさなぎから蝶になる。だから何でもどんどん書いてください。そのために協力はしますよ!」
1993年の監督復帰直後だったと記憶する。
当時はJリーグ発足の大ブームで、野球人気の低迷が叫ばれる中だった。それでも長嶋監督が言葉通りに選手を巻き込んで様々なパフォーマンスを披露して、ファンの注目を集めたことで、当時の巨人の選手たちは全国区へと育っていったのである。
今年の巨人宮崎キャンプを見ていて、ふっと思い出したのはそのときのことだった。
見られること、注目されることで選手に活力が生まれている。そう感じるのが阿部慎之助監督が就任した二軍の練習だった。