【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
東京五輪の後にくる「運命の5年間」。
日本スポーツ再生までの賞味期限。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byKyodo News
posted2020/02/04 07:00
グローブ座での大会開催など、フェンシング協会は太田雄貴会長の就任以来あたらしい地平を切り開いている。
既存の価値観の延長上に明るい未来はない。
そこまで無意識、意識的に保守的・保身的でなくとも、単純に改革の方法が分からず、小手先の改善をしてるうちに時間がたってしまうケースも出てくるはずです。
でも、変化は待ってくれません。
スポーツにお金を出しているスポンサー企業は、よりシビアにその競技やチームや選手の価値を判断するようになりますし、ファンもその変化を感じます。
実はほとんどの場合、運営側の動きが一番鈍い、というのも世の常です。
それでも、日本のさまざまなスポーツのさまざまな場所で、ぽつぽつと、成功するところが出てくるでしょう。今でもスキーやフェンシングの連盟は、大変風通しがいい組織を作りつつありますし、楽天のヴィッセル神戸のように賛否はさておきオーナー完全トップダウンで次の時代の1つのベンチマークのあり方を実現しているところが目立ちはじめています。
そうやってさまざまなカタチの成功例が出てきて、その周りで後追いをするところが出て、動きが鈍いところは置いていかれる、そういう5年間になるのだと思います。
日本の将来を考えた時に、既存の価値観でコツコツ頑張った延長上に明るい未来があるとは、私は思いません。
かといって、「これをやればOK」というものも当然ありません。
全員が挑戦して、それぞれに新しい何かを掴み取らないとどんどん辛い立場になっていく。これはもう避けられないことだ、と肝に銘じるべきなのです。
すでに成功しているところに入っても……。
ちなみにDeNAベイスターズの球団社長時代から今に至るまで、私のところに来て、「勉強させてください、仕事をください」って言ってくる人、弟子入り志願のような人がけっこういます。
私からすると、ベイスターズのような場所に加わりたいだけなのか、何か新しい1つの見えないものへの挑戦に加わりたいのか、圧倒的に前者の安易な方が多いように残念に思うことが多々あります。後者の方こそウェルカムです。
人の成功にのっかって中途半端に何を得たいのだろう? すでに事業として形になっている、成功している組織に入ることに何の意味があるのだろう……。
たとえすでに成功しているところに後から入ったって、せいぜい歯車の1つにしかなれません。
最初にリスクをとって挑戦した人間が強いんです。その傾向は、今後ますます加速していくのです。