【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
東京五輪の後にくる「運命の5年間」。
日本スポーツ再生までの賞味期限。
posted2020/02/04 07:00
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Kyodo News
2020年に入り、1カ月が過ぎました。
言うまでもなく、2020年は日本のスポーツ界にとって大きなターニングポイントとなることが、約束された年です。
その中心は、もちろん東京オリンピックでしょう。
私はこのところ年末年始を海外で過ごすことが多かったのですが、この年末年始は日本で過ごしてみよう、と前々から思っていました。日本の2020年がどんな空気で始まるのかを肌で感じておきたかったからです。
想像通り、箱根駅伝のようなスポーツイベントはもちろん盛り上がりました。
それだけでなく、紅白からバラエティ系の特番、CMも含めて、ありとあらゆるところにアスリートが登場し、「2020」がスポーツを中心にした祝祭の年であることを、いやがうえにも感じさせられた人も多かったのではないでしょうか。
おそらく2020年はこのまま、多くの日本人が、ある意味ふわふわと高揚した、楽しい気分で過ごす1年になりそうです(コロナウィルスなどの影響は未知数ですが)。
ただ、私は正直にいって、オリンピックそのものには興味がありません。
むしろ注目しているのはその「後」です。
オリンピックは昭和の最後の祭典。
今の日本は、道路や空港のようなインフラから、法制度や組織の考え方など、昭和の時代に先達がつくりあげた古いシステムをだましだまし使っている状態です。
そして、スポーツはその最たるものの1つです。
そして東京オリンピックは、これまで日本社会の中で温存されてきた「昭和的なシステム」にとっての、おそらく“最後の祭典”になるはずです。
たとえばここ数年、スポーツ界ではパワハラや組織の腐敗などが頻発しています。
オリンピック前のデトックス(解毒作用)という要素もありますが、そもそもシステムとして耐用年数を過ぎているものを使い続けているのですから、ほころびが顕在化するのは当然です。
しかし「オリンピックまではなんとか」と本質的改革を先送りしてきたとしても、オリンピックが終わってしまえばいよいよ変化の必然性に直面します。
そしてその変化は、各種競技の連盟やスポーツ団体、経営や資本のトップ交代という形で始まっていくことでしょう。
オリンピックが終わってしばらく大きなイベントはない状況で就任した次のトップが、新時代の組織と経営の礎をつくるというミッションに挑むことになるわけです。