マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
履正社、花咲徳栄、東海大相模……。
強い学校の“目立たぬ逸材”を探せ。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/01/30 19:00
2019年夏の甲子園決勝では2年生ながら三塁打も放っている池田凛。なんともいい仕事をする選手だ。
目立たずとも、2番の加藤は木のバット向き。
そんなチームで盲点かも……と見ているのは、昨秋サードやセカンドを守り、2番を打っていた加藤響内野手(178cm74kg・右投右打)だ。
鵜沼魁斗、山村崇嘉、西川僚祐……前後をゴッツイのが固めているから、間にはさまるこのスリムなシルエットが目立ちにくい。
しかし、全身をしならせるように振り抜いて、バットで背中を叩くほどの柔軟性と強靭なバネは、反発力の落ちる木製バットになった時に、これ以上ない武器となる。
彼だって、すでに30弾ほど放り込んでいると聞いている。
スイングの運動量、スイングスピード、打球の速さに長打力……ほかのチームなら、3番でも4番でもつとまるハードパンチャーだ。
4年後にはドラフト上位も夢じゃない。
長所は間違いなく強打だから、ポジションは内野にこだわらない。外野も練習してもらおう。上手な内野手を外野で使うと、ものすごく上手い外野手に変身することがある。
クリーンアップを打てる打者に育てて、大学4年生の頃には、打てて守れて走れる右打ちの内・外野二刀流に。なかなかいないタイプだから、ドラフト上位も夢じゃない。
本人は2倍、3倍と練習しなきゃならないが、そのぶん将来の楽しみと可能性も2倍、3倍だ。頑張り甲斐のある夢だと思う。
センバツの時期は、大学野球も春のリーグ戦に備えて他の大学や社会人とオープン戦の毎日だから、大学の監督が現場まで見に行くのはなかなか難しいが、時間を作って、テレビ画面から見定めてはどうだろうか。
3年後、4年後の彼らを想像しながらの映像分析。今から楽しみでならない。