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羽生結弦と同郷で同い年、鈴木潤。
ソニーのエンジニアに華麗なる転身。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph bySho Tamura/AFLO SPORT
posted2020/01/12 20:00
7度目の出場となった今回の全日本選手権。同郷で同い年の羽生とは、同じリンクで練習していた時期もあった。
北大工学部に進学して、学業と両立。
大学は北大のみを受験した。まさかの一浪となったが、二度目の受験の時期に'14年ソチ五輪があり、羽生結弦が金メダルを獲った。
「またあそこに戻りたい」
その思いが原動力となる。北大工学部に進学した後は、厳しい練習環境やけがに悩まされながらも学業とスケートを両立し、学部の4年間と大学院の2年間の計6年間、全日本選手権に連続出場した。
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「僕は根っからの負けず嫌い。大きな舞台を経験するたびに、もっと高いレベルで競い合いたいという思いが出てくる。他の人がやっていないことをやりたいという思いや、自分の演技に対して観客がリアクションしてくれる喜びも原動力でした」
ネイサン・チェンの場合は?
国立大学で学ぶ。それと同時に、練習環境を整えるだけでも苦労が尽きないフィギュアスケートに取り組み、国内最高峰の大会に出る。それを6年間継続した鈴木に文武両道についての考えを尋ねると、興味深い答えが返ってきた。
鈴木は、フィギュアスケートで世界のトップに立つ一方で、名門のエール大学で学ぶネイサン・チェンを挙げ、文と武には相関関係があるのではないかという仮説を唱えた。
「ネイサンは勉強も高いレベルでやっているからこそ、スケートでも高いレベルでメンタルを維持できているんじゃないかと思うんです」
日本では、スポーツでトップを目指す場合、競技に専念しなければならないというケースが多いが、文武とも可能性を持ち続けられる環境があってもいいのではないかと考えている。
「僕が文武両道というのは恥ずかしいですが、ネイサンがあのレベルで両立できているのだから、日本でも彼のような選手が出てきてもおかしくないと思っている。彼のような選手をモデルにして、日本でも後進が育ってくれたらと思います」