フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
羽生結弦と同郷で同い年、鈴木潤。
ソニーのエンジニアに華麗なる転身。
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph bySho Tamura/AFLO SPORT
posted2020/01/12 20:00

7度目の出場となった今回の全日本選手権。同郷で同い年の羽生とは、同じリンクで練習していた時期もあった。
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就活で役員たちの前で3回転を披露。
就活ではフィギュアスケートでつちかってきたことが大いに生かされた。インタビューや試合の取材対応で思考を整理する力がつき、それが面接で生きた。
瞬発的な対応力や度胸も磨かれていた。
「ジャンプって、どうやって跳ぶの?」
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興味津々の役員たちの前で3回転を披露し、面接会場が大いに盛り上がったこともあったという。
そういえば、フィギュアスケートの試合会場で取材陣から卒業論文のテーマを聞かれた鈴木は、「カチオン性金ナノ粒子の超迅速な合成法の開発」と一気に言い、あっけにとられる記者たちを前に、「大体笑われるんですけど」と言って笑いを取っていた。
そのサービス精神は、全日本選手権でフリーの演技を終えたときに見せた投げキスにも通じるものがある。
今後は残りいくつかのローカル大会に出て、3月の北海道選手権が引退試合となる。
「楽しかった。やりきったな、という思いです。これで気持ちよく終われます」
25歳の珠玉のスケーターは、さわやかに青春のリンクを離れていく。
