水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
水沼貴史が語るリバプール南野拓実。
「今のメンバーで一番の適性」とは。
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2019/12/20 20:30
豪華な攻撃陣とポジション争いができるだけでも貴重な経験だが、もっとスケールの大きな選手になれるはずだ。
ゴールパターンが増えている。
南野は日本人選手の中でもシュート技術が高い。先日のCLリバプール戦でのボレーシュートやヘンク戦でのゴールも素晴らしかった。代表ではヘディングでゴールを決めていますよね。徐々にシュートをイメージする場所が変わってきている。言い換えれば、ゴールパターンが増えていると思うんです。
リバプール戦のボレーではちょっと引いた位置で待っていましたし、ヘンク戦ではペナルティエリア内で体の向きを瞬時に変えて逆サイドに流し込んだ。ヘディングで得点を奪うにはゴールに近いところにいないといけない。
欧州での経験も大きいと思いますが、点を獲ることに関しては天性のものがある。「この形になったら」ではなく「このエリアに入ったらゴールを奪える」みたいな感じ。DFとしては何をするかわからないので、嫌な存在でしょうね。
フィルミーノの役割も担える?
最近のリバプールを見て、ダブルボランチ、トップ下という中盤の配置が増えてきたことも注目したい。
アンカーを務めていたファビーニョが怪我した影響があるのでしょうけど、トップ下を控えのララーナが務めていた試合もありました。南野自身はサイドも十分できると思いますが、トップ下からゴール前に入っていくという部分に関しては、今いるメンバーの中では一番適性がある。南野の加入で、バリエーションが増えたといえるでしょう。
1トップを務めるフィルミーノの役割も、南野の特徴とマッチしているような気がします。
フィルミーノはまさに「わかりづらい天才」。実はゴールシーンを見ると、アシストのアシストが多いんです。少し下がってボールを捌いたり、ゴール前で見せる技術やマネ、サラーへの配球など、なかなか替えが効かない選手ですよね。
今のリバプールにはサラー、マネもさることながら、フィルミーノに続く選手がいないのも事実。オリジらもいますが、盤石ではない。その点、南野はチャンスメイクができて、さらにゴール前に飛び込むこともできる。今季これからカップ戦も含めて一層ハードになる日程を考えても、南野獲得は大きな補強だと思います。