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森保サッカーはノーマルだけど難解!?
トルシエ&黄金世代との一致と相違。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2019/12/16 20:00
日本人監督で初(過去にはF・トルシエ元監督)となるA代表と五輪代表の兼任監督の森保一監督。その戦略眼は卓越している。
黄金世代の若者達と同じ変化を!
他方で若い選手の方が、新しいコンセプト、新しいスタイルを吸収しやすい。
時代は遡るが……トルシエの代表監督時代、フランスワールドカップに出場したベテラン選手の多くは、頭ではフラット3を理解しながらも、なかなかプレーで体現できなかったことがあった。ところが小野伸二や本山雅志、稲本潤一、小笠原満男、高原直泰、中田浩二ら黄金世代の若者たちは、まるでスポンジが水を吸い込むかのように、トルシエのこの新しいコンセプトを瞬く間に自分たちの血肉にしていたのである。
この時と同じことが、今の五輪世代にも言えるはずだ。
鈴木武蔵、中島翔哉、仲川輝人らの課題。
逆に違和感のある選手もいる。
鈴木武蔵は、森保のコンセプトの中でどうすれば自分を生かし切れるかまだ分かっていないように見える。もともと器用なタイプではないのだろう。しかし新潟や札幌でプレーを進化させたように、自らのポテンシャルを具現化しレベルを上げる力が彼にはある。早くフィットして欲しいと願っている。
また今回は招集されていないが中島翔哉も、コパアメリカ当時のドリブルの切れが見られずに、ここ最近は攻撃の流れの中にうまく嵌っていない。
ただ、彼の場合は、自分のプレーに対するこだわりと絶対的な自信があるのだろう。頑ななまでに自分のスタイルを崩さずにプレーしている。本来の調子さえ取り戻せば、再び攻撃の大きな推進力になるのは間違いない。
さらに仲川輝人の役割と周囲との関係は、彼が次の韓国戦も先発出場するならば、もう一度整理する必要がある。
香港戦の仲川は、サイドアタッカーでもストライカーでもなく、役割自体が中途半端だった。マリノスがそうであるように、基本パターンだけははっきりさせるべきで、森保ならば次はそこもキッチリと対処するだろう。