ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
世代交代中でも安定のバイエルン。
コウチーニョ効果と万能キミッヒ。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/26 11:00
昨季はチームを取りまとめるまで時間がかかったニコ・コバチ監督だが、コウチーニョらが加わった2年目に手ごたえを感じているようだ。
“ロベリー”が去って攻撃の再構築中。
コバチ監督体制2季目のバイエルンは粛々と世代交代を進めてきました。近年の栄華を支えてきたアリエン・ロッベンが現役を引退し、フランク・リベリーは12年間在籍したクラブを離れてフィオレンティーナへ移籍しました。
「1強時代」を象徴した“ロベリー”が去ったわけですが、コバチ監督はすでに昨季から新たな攻撃ユニットの構築に着手していて、その成果は着実に表れています。
まず、“スーパーボンバー”ロベルト・レバンドフスキは開幕から8試合連続得点で計12得点と、31歳にして最盛期を迎えた感があります。屈強な体軸を武器にした空中戦は他を寄せ付けず、ゴールエリア付近で彼に跳躍されたら即失点を覚悟せねばなりません。
なおレバンドフスキは今年の8月末に2023年6月末まで契約を延長しました。4年後の彼は35歳ですが、クラブの彼に対する評価は至極当然でしょう。
コバチ監督は、4-2-3-1の両ウイングにキングスレー・コマンとセルジュ・ニャブリを配して、このふたりも強烈な個性を発揮しています。ふたりは共に縦への突破スピードがあるだけでなく、鋭いカットインからゴールを射抜く能力をも備えています。
特に今季のニャブリは大成した感があり、CLグループステージのトッテナム戦ではアウェーで4得点の大暴れで7-2での大勝の牽引役となりました。
キミッヒがラームの如く中盤で。
レバンドフスキ、コマン、ニャブリのトライアングルを後方でコンダクトして、自らもゴール前へ侵入する役目を担うのが今季バルセロナ(スペイン)からレンタルで加入したコウチーニョ。ブンデスに降り立った正真正銘のスターは開幕前から注目を浴びていて、バイエルンの練習場には連日子どもたちが押し寄せて「コウチーニョ~、コウチーニョ~」とサインをねだる姿が目立ちました。
彼も評判通りの活躍で、リーガ8試合で2得点3アシスト。彼がトップ下に入ることでクラブ生え抜きのトーマス・ミュラーがベンチに追いやられ、その去就が取り沙汰されるのもビッグクラブ特有の現象でしょう。
またコバチ監督は中盤の構成をトップ下+ダブルボランチに定めていて、ボランチはチアゴがファーストチョイス、さらには昨季途中から今季序盤戦はジョシュア・キミッヒが往年のフィリップ・ラームの如く中盤でプレーして、“コバチ・バイエルン”に新たな息吹をもたらしました。