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世代交代中でも安定のバイエルン。
コウチーニョ効果と万能キミッヒ。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/26 11:00
昨季はチームを取りまとめるまで時間がかかったニコ・コバチ監督だが、コウチーニョらが加わった2年目に手ごたえを感じているようだ。
ズーレとエルナンデスが負った重傷。
しかし、好事魔多し。第8節アウクスブルク戦でズーレが左膝前十字靭帯断裂、そして10月22日のCLグループステージ第3節オリンピアコス戦ではエルナンデスがふくらはぎ付近を痛めて交代と、主力DFふたりが相次いで深刻なケガを負ったのです。
今後は中盤が本職ながらCBでプレーできるDFハビ・マルティネス、もしくは下部組織出身で19歳のDFラース・ルーカス・マイなどが穴埋めせざるを得ないかもしれません。とはいえ、最も影響を受けるのはキミッヒをボランチから右サイドバックに戻すことで中盤の展開力が陰ることかもしれません。
第7節ホッフェンハイム戦でホーム約1年ぶりの敗戦を喫したバイエルンは、第8節を終えて4勝3分1敗の勝ち点15。これは過去9年間で最も勝ち点を積んでいないとのこと。キャプテンのGKマヌエル・ノイアーも「本来なら6から7ポイント多く取っていないと」と語り、スタートダッシュに失敗した事実を受け入れている様子です。
ただコバチ監督は「内容は昨季よりずっと良い」と強気の姿勢を崩していません。また、ウリ・ヘーネス会長も今夏コウチーニョ、エルナンデス、パバール、そしてU-20フランス代表ミカエル・クーザンス、そしてクロアチア代表のイバン・ペリシッチを獲得して体制が固まったと判断して「今冬の補強はない」と明言しています。
来年カーンが取締役になる予定。
激化する覇権争い。現状のバイエルンは不穏な空気が漂っているようですが、僕自身は、それでもバイエルンはリーガを牽引し、結局は首位を保ってフィニッシュするような気がしています。
だって、これまでの7連覇の間にも、このクラブ、チームには紆余曲折があったなかで、それでも確固たる結果を得てきた実績があるのですから。
バイエルンのヘーネス会長は11月の会長選挙には出馬しない意向を示し、その後任はアディダスのCEOなどを務めたハーバート・ヘイナー氏が濃厚だと言われています。またヘーネス会長とクラブを支えてきたカール・ハインツ・ルンメニゲ社長も、2021年一杯で契約を満了し、その後任となることを前提に元ドイツ代表GKでバイエルンのレジェンド、オリバー・カーン氏が2020年から取締役に名を連ねる見通しだと報じられました。