ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
世代交代中でも安定のバイエルン。
コウチーニョ効果と万能キミッヒ。
posted2019/10/26 11:00
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Uniphoto Press
10月のドイツは不安定な天候が続いています。気温ひと桁台で窓に叩きつけるような雨が降る日もあれば、朝から20度を越え燦々と陽光が降り注ぐ日もあるなど、目まぐるしく気候が移り変わっています。
街の木々も緑や赤、黄の葉っぱが混在していて、「紅葉してもいいのかな?」と逡巡している様子。ただ今年は寒冬と予測されていて、11月に入ると一気にウインターシーズンへ突入する雰囲気も感じます。そろそろ防寒対策をしなくては、と思っている今日このごろです。
ブンデスは例年以上に群雄割拠。
ドイツのサッカーシーンは群雄割拠と化し、その苛烈な順位争いも相まって例年以上に活況を呈しています。
近年のブンデスリーガはバイエルンの7連覇が示すように1強時代が長く続いています。昨季のバイエルンはニコ・コバチ新監督の下で若干出遅れましたが、最終的にはリーガとDFBポカールの国内2冠を達成して“盟主”の座を保持しました。
しかし今季は8試合を終えて首位に立つのはボルシア・メンヘングラッドバッハ、2位ヴォルフスブルク、3位バイエルン、4位ドルトムント、5位ライプツィヒで、首位から9位レバークーゼンまでの勝ち点差はわずかに2と、非常に拮抗しています。
先日、本当はシャルケ・サポーターなのに現在の住居がフランクフルトで、息子が生粋のアイントラハト・サポーターだから仕方なく地元クラブを応援しているふりをしているドイツ人の知人宅でタコ焼きパーティをしていたら、その御仁がスマホを見ながら「おい! バイエルンがアウクスブルクに追いつかれて引き分けに終わったぞ!」と喜色満面な笑みを浮かべているではありませんか。
ちなみに、彼の愛するシャルケは現在7位で首位とは勝ち点2差、バイエルンとは勝ち点1差で肉薄しています。
ドイツ国内のバイエルン以外のサポーターは、総じてこのミュンヘンのクラブが嫌いです。
「いつもバイエルンが優勝するなんてつまらない」などと言って勝手にブンデスリーガの未来を憂いたりして、彼らはとにかく“盟主”の凋落を願っています。だからバイエルンの成績は逐一チェックしていて、その都度一喜一憂するのです。
さて、それでは、今季のバイエルンは不調なのでしょうか?