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ユーベがパス24本を繋いでゴール!?
懐疑論を黙らせたサッリ監督の手腕。 

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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photograph byUniphoto Press

posted2019/10/26 09:00

ユーベがパス24本を繋いでゴール!?懐疑論を黙らせたサッリ監督の手腕。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

ロナウドらアタッカー陣は数多くそろっている。彼らがサッリ監督の戦術でどう輝くかがユベントスの焦点だ。

デル・ピエーロも懸念していた。

 攻撃で芳しい成果を見せられたわけでもなかった。

 4点を奪ったナポリ戦はともかく、格下相手の試合には連係に冴えがなかった。ショートパスが小気味よく回って選手が次々とシュートを打つナポリ時代のサッカーとは程遠い姿。「選手たちがひとりひとりが自分勝手にしかプレーしていない。これではアッレグリ以下だ」などという批判がSNSで踊った。

 またかつてのレジェンド、アレッサンドロ・デル・ピエーロも衛星TVスカイ・スポーツの番組中に「ナポリではもっと選手が楽しくプレーしていた印象があったが、今のユーベはまだそういうふうには見えない」と指摘していた。

 アッレグリ監督が5年かけて作り上げたチームを変えるという行為は、ただでさえ簡単なことではない。しかもクラブの伝統とは違う哲学を持った監督の下で新しいサッカーを作ろうとしている。この1年は勝利を捨てたのか――そんなことをメディアやファンから囁かれるようにもなった。

気が付けば開幕8試合で7勝1分け。

 だがサッリの手腕はゆっくりと、そして着実に現れ出した。まずは9月18日、CL第1節アトレティコ・マドリー戦。決勝トーナメント1回戦で対決した昨季の第1レグでは0-2と敗れており、ユーベにとってアウェーは鬼門だった。

 しかし強固な守備組織を誇る相手に縦のロングカウンターで先制するや、パスワークを使った崩しで追加点も奪い2点を先行。終盤には猛攻を食らい、セットプレーから追いつかれてしまったが、攻撃力を高めたことから得た勝ち点1だったことは事実だ。

 その後リーグ戦では、格下相手に圧倒したわけではないとはいえ3連勝をキープ。一方で10月1日のCL第2節レバークーゼン戦では3-0と完勝した。前半の早い時間に先制した後は、猛攻を仕掛ける相手を受けとめ、枠内シュートを打たせないようコントロール。相手のペースが落ちた後半には、パスワークで圧倒して点差を広げた。

 その5日後には、冒頭で紹介した通りインテルに勝って首位に躍り出た。第8節ボローニャ戦でも勝利し、気がつけばリーグ戦の成績を第8節終了時点で7勝1分としている。至上命令とされる勝利を、サッリの下でも集め続けるようになっているのだ。

【次ページ】 ナポリ時代の“コピペ”ではなく。

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