プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人に「昭和の戦略」で敗れた阪神。
CS第2戦の要点は1、2番の編成だ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/10/10 12:00
阪神に5-2で勝利し、タッチを交わす巨人ナイン。
「あの並びなら使いやすくなるよね」
それぞれ思惑通りに機能しなかったことが、この試合の流れを決めることになるが、ここであえて挙げるとすると、2番に近本を置いたオーダー編成である。
「あの並びなら使いやすくなるよね」
試合後に巨人の原辰徳監督がこう振り返ったのは「1番・木浪、2番・近本」という1、2番の入れ替えではなく、2番に近本を置いたことで3番の福留孝介外野手と左打者が並んだことだった。
最も警戒しているのは3番・福留
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場面は8回だ。
先発・山口俊投手に対して5回の代打から9番に入っていた北條が左前安打(やっぱり!)して、木浪の二ゴロで走者が入れ替わった1死一塁。打席に近本を迎えたところで巨人ベンチは迷わず山口から左の中川皓太投手にスイッチした。
「中川に関しては回にこだわらず状況を見ながら、勝負どころで左の強い打者を迎えたところで使う」(原監督)
実は巨人がこのシリーズで最も警戒しているのが3番に座る福留だった。
今季は対巨人戦では74打数27安打の4本塁打で打率3割6分5厘。OPSは実に1.008をマークしている。この数字を見ただけでも、巨人にとってこの天敵をどう抑えこむかがシリーズの第1テーマだったことは明白である。
そしてもう1人、徹底マークの指示が出されているのが近本だ。ルーキーイヤーでいきなり159安打を放った打撃技術は本物と見ている。
しかも足もあり塁に出すと相手にとっては嫌なタイプで、逆に阪神にとってはムードメーカーとしての役割も大きい。