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南アフリカ戦完敗に悲観は必要ない。
W杯前にジャパンが確認できたこと。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/09/09 12:30
日本じゅうが歓喜した南アフリカ戦から4年後、完敗でリベンジを許した日本代表。しかし本当に大事なのはW杯で何ができるか、である。
敵陣深くでフェーズを重ねる場面も。
日本のトライは1本だけである。後半20分に相手のパスの乱れを突き、松島幸太朗が独走したものだ。
とはいえ、敵陣の深くでフェーズを重ねる場面もあった。「こちらが早くセットして勢いがあれば、いいアタックができていた」とは、スクラムハーフとして先発した茂野海人である。
ゴールを狙える位置からのペナルティでは、すべてアタックを選択した。少しずつでもスコアを刻んでいけば、点差を詰めることは可能だっただろう。W杯のために使わなかったスペシャルなプレーも、チームの手元にはあるはずだ。
「点差ほどの差はない」と田村。
フル出場した田村のコメントが印象的だった。
「自分たちのプランを遂行してチャンスもたくさん作れましたけれど、まだ完全に生かしきれるところまでいっていない。ちょっとのところでチャンスを逸して、ホントに細かいところで、開いた扉が閉まりました」
スコアについて聞かれると、「点差ほどの差はないです」と答え、すぐに「どうですかね」と続けた。ふた言目に否定のニュアンスは含まれていないものの、2度目のW杯に挑む司令塔は課題と向き合うことを忘れない。
「点差はティア1との違いだと思いますけど、そこと同じ力もパフォーマンスも日本にはあると思います。ブレイクダウンの精度が少し足りないとか、1秒遅かったりとか、ちょっと精度が落ちると、ティア1のチームは逃さない。細かいところを見つめなおすいい機会になったと思います」
リーチも田村の見立てに同調する。長期の離脱を経てPNCで実戦感覚を磨いてきたキャプテンは、W杯にしっかりとコンディションを合わせてきた。
「自分たちのディテールが落ちたときにやられている。そこを改善していきたい」
成果と呼べるものもあった。ジョセフHCは「いいスクラムが組めていた」と話す。プロップの稲垣啓太も、「スクラムは自信を持てる」と振り返った。