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南アフリカ戦完敗に悲観は必要ない。
W杯前にジャパンが確認できたこと。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/09/09 12:30
日本じゅうが歓喜した南アフリカ戦から4年後、完敗でリベンジを許した日本代表。しかし本当に大事なのはW杯で何ができるか、である。
「決して悲観はしていません」
フル出場にふさわしいプレーを見せた中村亮土は、「アタックからディフェンスへの切り替えはもっと早くできる」と語った。負けた試合後だけに、質問への答えにどうしても課題が含まれていく。しかし、28歳のセンターは迷いのない意思を明かした。
「でも、僕自身は決して悲観はしていません。課題があるとしても、選手同士でコミュニケーションをとって、試合中にもっと予測していけば、改善できると思います」
福岡らの負傷状況も深刻ではない。
試合の翌日には、ポジティブなニュースがもたらされた。
南アフリカ戦の前半早々に負傷退場したウイングの福岡堅樹は、ジョセフHCによれば「彼が感じたほど深刻ではない」という。同じく南アフリカ戦で右肩を痛めたNO8のアマナキ・レレイ・マフィの状態も、「シリアスではない」と指揮官は説明した。直前の網走合宿で負傷した堀江翔太と姫野和樹も、開幕戦を視野に快方へと向かっている。
あとは、南アフリカ戦の内容をW杯へつなげられるか。9月20日のロシア戦のピッチに、自信を持って立つことができるかだ。
「残り時間は十分です。十分あります。時間もあるし、このチームは修正能力が高い」とリーチは言葉に力を込める。
今回が4大会連続のW杯出場となるトンプソン ルークも、「今日は負けたけど、一番大事なのはW杯。自分たちのミスで相手にトライされてしまったところを修正すればいい」と前を向く。
南アフリカに負けたからといって、ネガティブな思考に染まる選手はひとりもいない。不安や憂いの感情を、表情ににじませる選手もいなかった。
目標達成への揺るぎない意思が、チームを貫いている。
それが、いまはとても頼もしいのである。