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南アフリカ戦完敗に悲観は必要ない。
W杯前にジャパンが確認できたこと。
posted2019/09/09 12:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Naoya Sanuki
ラグビーワールドカップ(W杯)前最後のテストマッチである。結果は出たほうがいい。
だが、結果がすべてでもない。
9月6日に行なわれた南アフリカとのテストマッチで、ラグビー日本代表は7-41で敗れた。ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)に率いられたチームは、7月末からのパシフィックネーションズカップ(PNC)でフィジー、トンガ、アメリカを相手に3連勝を飾っていた。
2015年のW杯で「世紀のアップセット」を演じた相手との再戦に、期待は高まっていた。会場となった県営熊谷ラグビー場は、2万2258人の観衆で埋め尽くされた。
冷静に見極めれば、結果は妥当である。
W杯で過去2度の優勝を誇る南アフリカは、今回も優勝に照準を絞っている。一方の日本は、5カ国総当たりのプール戦で上位2カ国に食い込み、史上初のベスト8入りをターゲットとする。
客観的な比較で、力の差はある。勝利するのが難しい相手とこのタイミングで対戦したのは、最終チェックの意味合いが含まれていたに違いない。
リーチ マイケルが「得た」収穫。
キャプテンのリーチ マイケルは言う。
「PNCからスタートしてステップアップしながら、南アフリカのようなティア1の強い国と対戦できた。自分たちが望んでいた結果ではないけれど、得たものはたくさんある。W杯に向けて、自分たちが何をやらなきゃいけないのかがはっきり分かった。ティア1の圧力が分かったので、とてもいい経験になった」
7分に喫した1本目のトライは、マイボールラインアウトでノックオンをとられたことがそもそもの始まりだった。
22分に与えた2本目のトライは、田村優が右サイドへ蹴り上げたボールを相手フルバックに確保され、左ウイングにつながれて一気にトライへ持ち込まれた。ハイボールの活用でフィジカルを生かしてくる南アフリカに押され、合計で6つのトライを許した。