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八村塁不在でも日本バスケに見たい、
アメリカ戦・馬場雄大のような姿勢。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYukihito Taguchi
posted2019/09/07 11:50
八村塁(左)が完璧に封じられた中、気を吐いた馬場雄大。アメリカとの実力差を味わえたことは今後に生きるはずである。
アメリカの守備の圧がすごかった。
日本はチーム力ではなく、個の力でアメリカに対抗してしまった。
FIBAランキング1位のアメリカに対して、そんな戦い方を挑んだことが、日本が完膚なきまでに叩きのめされた最大の原因だった。
ただ、個の能力差がありすぎて、チームでの攻撃を繰り出すどころではなかったのかもしれない。実際、守備力が売りの竹内公輔はアメリカの守備をこう評した。
「ビッグマンですら、本当に激しいディナイ(※パスを出させないような守備)をしてきて、彼らは腕も長い。『パスを出したら、腕に引っ掛けられてしまうかな』と……恐怖ではないですけど、それくらいディフェンスの“圧”を40分間にわたって感じました」
なぜ日本は個の力で勝負したのか?
ではなぜ、日本は個人の力で対応しないといけなかったのか。
今回のW杯に向け、日本は8月に6つのテストマッチを戦った(非公開のチュニジア戦含む)。その連戦の中にターニングポイントがあった。
2戦目、3戦目のニュージーランド戦(104失点)とアルゼンチン戦(108失点)と大量失点で敗れた2試合を踏まえ、フリオ・ラマスHC(ヘッドコーチ)はある決断を下した。
攻撃のペースを落とすことにしたのだ。
それが4戦目のドイツ戦(83失点)の金星につながったのは事実だ。
ただ、その代わりに求められたことがある。日本が8連勝を飾ったW杯予選でも効果的だったアーリーオフェンスからの得意な形を繰り出さなくなったのだ。
「どうしたら勝てるか、というのは僕たちのなかで理解してきた。ディフェンスを頑張って走るバスケが、ラマスコーチの求めるものですから」
W杯予選中、チームのスタイルをこう評したのは馬場雄大だ。しかし攻撃のペースを落とすことは、そのスタイルをいったん脇に置くことを意味していた。
かといって、方針を変更して短期間で、それに代わる有効な攻撃が構築できるわけもない。実際、W杯初戦後には一部の選手からこんな意見も聞かれた。
「相手のオフェンスに対してどう守るかのスカウティングはしていたのですが、相手のディフェンスに対してどう攻めていくかについてはあまり……。その準備が足りなかったのかなと、試合をやって思いました」