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八村塁不在でも日本バスケに見たい、
アメリカ戦・馬場雄大のような姿勢。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2019/09/07 11:50

八村塁不在でも日本バスケに見たい、アメリカ戦・馬場雄大のような姿勢。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

八村塁(左)が完璧に封じられた中、気を吐いた馬場雄大。アメリカとの実力差を味わえたことは今後に生きるはずである。

渡邊、八村が称賛した積極性。

 試合後、渡邉のコメントが興味深かった。馬場がこのレベルで通用する選手であるかを問われると、NBAで戦う立場としてこう答えている。

「そう思います。今日、雄大は良いプレーをしました。彼は自信をつかんだと僕は考えています」

 また、2歳上の馬場に誘われてバスケにのめりこんだ八村は、馬場の活躍を自分のことのように喜んでいた。

「すごくうれしいです。僕の中学時代(※富山県の奥田中学)の先輩であり、このような試合で活躍することで、NBAなどのコーチたちも見ていたので、すごく良いチャンスになったと思います」

 W杯予選や、8月のニュージーランド戦で見せていたように、走力を生かした馬場のダイナミックなプレーは確かに有効だった。

 馬場はアメリカ戦で考えていたことをこう明かした。

「チームとして戦わなければいけないのは理解しています。だけど、まずパスを考えて、後手、後手……となるのは、このような舞台で本当にしてはいけないことだと。だからこそ先陣を切って走り回ったし、自分が打ちたいようにプレーしました」


臨機応変さをラマスHCも評価。

 では、指揮官は馬場のパフォーマンスをどうとらえたのか。以下がラマスHCの偽らざる答えだった。

「馬場のプレー内容は評価できるものだと思います。いろいろとトライして、怖さを持たずにやったことは本当に良かった。我々のオフェンスの核になりました。走る流れのゲームになってしまいましたが、その流れに上手く乗ったのが馬場だったのではないかなと思います」

 ラマスHCは攻撃のペースを落とすことを求めた。ただ、シチュエーションによって臨機応変に判断したうえでプレーすることまでは禁じていない。

 ところが、ラマスHCの求めるものを忠実に実行しようとするあまりに、八村への依存度が高い攻撃が増えた。また、「ペースを落とす」という手段が目的になったかのような消極性も見て取れた。

 日本人は求められるタスクを実行するのは得意だが、個人の判断で応用したり、良い意味で指示を超えることは不得手である。そしてこれは、バスケットボールだけに限らず、サッカーなどの競技でも起きがちなことだ。

 だからこそ、それを乗り越えた馬場の姿勢は、日本に射す一筋の光なのだ。

【次ページ】 渡邊が強調する「心の準備」。

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