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リベリー加入がもたらした化学反応。
今季はフィオレンティーナに要注目!
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byUniphoto Press
posted2019/08/29 11:40
昨季16位と低迷したフィオレンティーナ。若手主体のチームにリベリーはどんな変化をもたらすのか。
弱点を補強、リーダーはリベリー。
さらには、チームの弱点と目された部分も補強。昨季はあまりにも若手への切り替えを急ぎすぎて後半戦で崩れたが、その分実力派を足した。ボローニャから移籍したチリ代表のエリック・プルガルやサッスオーロから獲得したポル・リロラらは、セリエAで実績を築いている選手だ。ミランやサッスオーロで確かなプレー経験があるケビン・プリンス・ボアテンクも引っ張ってきた。
そして、補強の止めがリベリーだったのだ。前述の通り、日常会話程度のイタリア語はこなせるのでコミュニケーションは問題ない。また、プロとして若手の手本になる人物であることは長年の実績が物語る。トーニは『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューにこう答えている。
「誤解されることもあるけど、フランクはリーダーとして周りを引っ張ってくれる人物で、バイエルンではみんな頼っていた。キエーザも犠牲の大切さなどを学べると思うよ」
今季もチームの柱となるのは若手である。つまり、彼らを一人前にするためのリベリー獲得というわけだ。
優勝候補ナポリ相手に健闘。
そんなフィオレンティーナは、24日に行われた開幕ナポリ戦で堂々とその姿勢を打ち出した。コンディションが十分上がっていないリベリーはもちろんのこと、ボアテンクもベンチスタートとなる。その代わり、キエーザを始めフィオレンティーナの下部組織から育った選手が実に4人もスタメンに入れられていた。
優勝候補に挙げられるナポリを前に、ビンチェンツォ・モンテッラ監督が下した決断は随分と大胆で、一歩間違えれば……である。ところが、いざ試合が始まると、若者たちがナポリを大いに苦しめた。
9分の先制PKは、この日がセリエAのデビュー戦だったガエターノ・カストロビッリがエリア内で奪ったもの。その後ナポリに逆転を許すが、再び盛り返す原動力となったのも下部組織の生え抜きだった。右ウイングに起用された20歳のリッカルド・ソッティルが、爆発的な縦へのスピードでナポリの守備陣を切り崩す。キエーザとともに鋭い速攻を演出した挙句にCKを獲得し、ニコラ・ミレンコビッチがヘディングでゴールを決めた。
とはいえナポリも、華麗な速攻からホセ・マリア・カジェホンの正確なシュートで突き放しにかかる。ここでモンテッラ監督はボアテンクを投入する。すると彼は期待に応え、強引なミドルシュートをねじ込んで3-3と同点にしたのである。最終的にナポリに突き放されてしまったが、昨季2位のクラブと対等に戦って点を奪い合った。