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「脱・島田体制」で次代へと継承。
千葉ジェッツの新たな挑戦が始まる。 

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島田慎二

島田慎二Shinji Shimada

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2019/08/21 15:00

「脱・島田体制」で次代へと継承。千葉ジェッツの新たな挑戦が始まる。<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

「富樫勇樹が成長したときにその報酬を達成できるクラブ経営を意識してきた」と島田社長は話している。

執行責任者である社長を退くという決断。

 クラブ経営において、ここ数年は「脱・島田」を掲げ、私に依存しない会社作りを行うこと、そのためには徐々に私の色を薄めていくことが重要だと考えていました。最終的にはそれこそが、千葉ジェッツが100年続くクラブの礎になると確信していたからです。そのためにあらゆる施策を行ってまいりました。

 そして、今、このタイミングこそが、次の世代へ継承すべき“その時”なのではないかと考え、8月20日に社長を退き、副社長だった米盛(勇哉)にバトンを渡すことを決意しました。今後は、会長として一歩引いた立場から責務を果たしていく所存です。

 もちろん、この結論に至るまでには様々な紆余曲折がありました。

 現体制のまま1、2年後にバトンタッチする選択もあったわけです。しかしながら、千葉ジェッツにとって最適な選択肢は何かと考えたとき、私は米盛が代表取締役社長に就任することだと考えました。

 経営者はある程度、権限移譲して任せなければ育ちません。リスクやプレッシャー、社会的責任を考慮しても、ナンバー1とナンバー2では雲泥の差です。私が社長として残り、どんなに米盛に「思い切ってやれ」と言ったところで、私がいることでどうしても遠慮が出てしまう部分があるでしょう。

「お前が全部責任を持ってやれ」

 しかし、それでは本物の経営者にはなれません。「お前が全部責任を持ってやれ。困ったら俺が助けるから」というスタンスで、見守りながらもサポートする程度にしたほうが、経営者は育ちます。

 少し崖から突き落とすような感じはあるかもしれません。しかし、真の意味での「脱・島田」を考えた場合、私は、この決断に優る選択肢はなかったのではないかと確信しています。

 そもそも、米盛は私が後継指名をして呼んできた人材で、この数カ月間は集中的に社長教育を行ってきたつもりです。彼は私のリーダーシップ経営……グイグイ引っ張っていくタイプではありませんが、社員とともにより組織的に経営していくスタイルです。

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