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釜石にラグビーW杯がやってくる!
震災から8年、1万人が集まった。
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2019/08/09 11:40
釜石鵜住居復興スタジアムで初めて行われた日本代表戦(フィジー戦)には1万3000人の観客が押し寄せた。
釜石はどのくらい遠いんだろう。
プレスツアー3日目、釜石鵜住居復興スタジアムは1万3000人の観客で埋まり、日本は強敵フィジーを34-21で下す。スタジアム周辺で大きな混乱が起こることもなく、ゲームは始まりから終わりまで滞りなく進んでいった。本番に向けての予行演習はほぼ完璧だった。
今回と本番と違うのは、この日はものすごくたくさんの日本人ファン(とほんの少しのフィジー人ファン)、記者やカメラマンがスタジアムに集まったが、本番での2試合では、ナミビアとカナダとウルグアイとフィジーの人たちが、いったいどのくらい来るのかはわからないけれど、この釜石までやって来る。ウルグアイから釜石って、どのくらい遠いんだろう。ナミビアから鵜住居なんて、何度飛行機を乗り換えなきゃいけないんだろう。
試合が終わって2時間後、プレスツアーのミニバンが盛岡駅に向かって出発する。釜石の街はずれを抜け、遠野に差し掛かる頃には日もすっかり暮れていた。
どーん、どーん、車の外でなんだか不思議な音がする。ツアーに参加していた女性記者が、あ、花火! と声を上げる。窓の外の暗闇には雨が降っていて、その雨粒のはるか向こう、どこかの街で花火が上がっている。
ワールドカップが終わったら、鵜住居のスタジアムをどうするのだろう?
誰かがそんなことを言っていた。
花火を打ち上げる時、その花火が夜空に消えてしまうことを心配しても仕方がない。それよりも、次はどんな花火を打ち上げるのか、そう考え続けた方がきっといろんなことがうまくいく。
鵜住居でラグビーワールドカップ、少なくとも8年前よりはずっといろんなことが良くなっている、そんな気がする。