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ラグビーW杯へ、激化するSH争い。
田中史朗、流大、茂野海人の個性。
posted2019/08/05 19:55
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
ふたつの個性が、異なる輝きを放った。
ラグビーW杯の足音がいよいよ大きくなり、日本代表は7月27日にフィジーと、8月3日にトンガとパシフィックネーションズカップを戦った。6月から行ってきた合宿を受け、チームの強化は実戦を通したブラッシュアップの段階へ入っている。
すでに序列がはっきりとしてきたポジションがある一方、複数の選択肢を比較検討中のポジションがある。そのなかで、スクラムハーフのポジション争いが激しくなってきた。
フィジー戦は茂野海人が先発した。田中史朗と流大を追いかける第3の男だ。2019年のスーパーラグビーでゲームタイムを重ね、「強度の高い試合ができているのはすごくプラスになる」と、W杯へ向けた手ごたえをつかんできた。
果たして、積極的なプレーでアタックをけん引し、前半19分には自らボールを持ち出して松島幸太朗のトライへ結びつける。持ち味のランをアピールした。世界ランキング9位のフィジーを、34−21で撃破する勝利に貢献した。
トンガ戦でプランを修正した流。
続くトンガ戦は流がスタメン出場する。
20分にチームが2本目のトライを奪った直後、背番号9はこの試合初めてのキックを使う。素早い回収からボールを配球しつつ、ここからはキックでスペースを突いていく。
「相手の映像を観たときにスペースができると思ったので、そこをどう突くかは考えていました。試合が始まってみると、トンガのラインアウトが良くない。こっちはディフェンスがしっかりできていたので、タッチに出してそのあとのラインアウトからしっかりディフェンスをすれば、アタックにつなげられると」
試合中にゲームプランを修正したのだ。30分にもトライを奪った日本は、前半を21−0で折り返す。
「選手で考えて、マイナーチェンジをしたというか。それはいい準備ができていたからです。6月の宮崎から合宿を重ねてきて、いい積み上げができている。プランがあっても状況に応じて違うものが必要なら、リーダー陣が提示して選手同士で話し合うということが、練習中はもちろんオフフィールドでもできています」