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釜石にラグビーW杯がやってくる!
震災から8年、1万人が集まった。

posted2019/08/09 11:40

 
釜石にラグビーW杯がやってくる!震災から8年、1万人が集まった。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

釜石鵜住居復興スタジアムで初めて行われた日本代表戦(フィジー戦)には1万3000人の観客が押し寄せた。

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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Atsushi Kondo

 7月下旬、ラグビーワールドカップ組織委員会が主催するプレスツアーに参加した。目的地は全国12カ所ある開催地のひとつ、岩手県釜石市だ。

 日本対フィジー戦の前々日、正午過ぎの東京駅から新幹線に乗り、盛岡駅からはミニバンでさらに2時間ほど東へ進む。午後5時前、ミニバンは釜石市鵜住居地区に到着し、まずはスタジアムの見学からツアーはスタートした。

 釜石鵜住居復興スタジアム。2018年の8月19日に開場したこのスタジアムは、今大会全国で唯一の新築スタジアムとなる。本来の収容人員は6000人だが、本番ではプラス1万人分の座席を仮設で補うことになっている。

 スタジアムについて説明をしてくれたのは、かつて釜石シーウェイブスで9年間プレーし、現在は市の任期付職員として働く長田剛さんだった。

「どうですか? 素敵なスタジアムでしょ?」

 確かに素敵なスタジアムだ。

ピッチと距離が近く、自然に囲まれる。

 まず、スタンドとピッチの距離が抜群に近い。そしてそのスタンドには「絆シート」と名付けられたエリアがあり、ここには旧国立競技場や東京ドーム、熊本県民総合運動公園から寄贈された座席が設置されている。残りの座席は山林火災の被害を受けた地元木材を活用した木製の可愛らしいシートだ。

 グラウンドには日本初の床土改良型ハイブリッド天然芝が採用されている。表面の西洋芝の下には人工繊維、その下には砂。水はけと衝撃吸収性に優れ、根付きも良く、芝生は常に一定のコンディションが保たれる。芝のクオリティだけに限るなら、ここは日本最高のグラウンドを持っている。

 そして、特に力を入れたという災害対策。駐車場から裏山にかけて2キロにわたる避難路が整備され、スタジアム内のどの位置からも避難場所へ速やかに移動できる。耐震性の貯水槽や、緊急時に雨水などをため込む貯留槽も設けられている。

「こんなに美しい自然に囲まれたスタジアムはなかなかないですよ」

 長田さんの言葉に相槌を打ち、スタジアムのメインスタンド上段から視線を外界に向けると、そこには夏の夕暮れの光の中、次第にシルエットに変わってゆく山並みがある。頬の横を吹き抜けてゆく風は少しずつ涼しさを増してゆく。全てはどこまでも平和な世界のように思える。

【次ページ】 学校の跡地に建てられたスタジアム。

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