酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
村上宗隆が挑む史上初の偉業って?
2019プロ野球後半戦、気になる記録。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2019/07/14 17:00
高卒2年目にして長打力が開花した村上宗隆。10代での打点王のタイトル獲得となれば、日本プロ野球史に残る快挙だ。
ホークスを支える2人の新人王争い。
<甲斐野央&高橋礼、ソフトバンク10年ぶりの新人王なるか?>
実は最近この傾向が続いているのだが、投手の記録はめぼしいものがない。
1つ挙げるとすれば、ソフトバンクの甲斐野央と高橋礼の活躍があるだろう。昨年、甲斐野は小園海斗(広島)の外れ1位。高橋礼は一昨年ドラフト2位だ。
ソフトバンクの強さの源泉は、なんと言っても三軍まである「層の厚さ」だ。有望な選手が二軍、三軍にもひしめいているから、新人がいきなり活躍する余地はほとんどなかった。つまり新人王には縁のないチームだったのだ。
しかし、今季は主力選手の故障が相次いだ。それもあってかソフトバンクは方針を転換し、新人をどんどん起用し始めた。
甲斐野も、開幕一軍スタート。開幕戦でいきなり救援勝利を挙げてから、セットアッパーとして勝利の方程式を担い、13試合連続自責点0。11ホールドを挙げる。クローザーの森唯斗が6月16日に右肩の違和感で戦線離脱すると、クローザーに抜擢され7セーブを挙げた。1年目からここまでサクサクと成績を挙げるのはすごいと思う。
サブマリン高橋は千賀に次ぐ8勝。
先発陣では、高橋礼が8勝2敗、投球回数81回、防御率3.11の好成績。美しいアンダースローは、今年のホークスの1つの売りになっている。規定投球回数には現時点ではわずかに届かないが、チームでは千賀滉大に次ぐ2位の勝ち星である。
パ・リーグの新人王争いは、打者で交流戦首位打者になった中川圭太(オリックス)が急浮上してはいるが、ソフトバンクの2人が今のところ有利だろう。
甲斐野、高橋礼のいずれが獲得しても、2009年の攝津正以来、10年ぶりの「鷹の新人王」になる。
これはホークスの選手起用方針が大きくシフトしたことを意味している。
後半戦、これらの記録はどういう推移を見せるか。楽しみに見てみたい。