酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
村上宗隆が挑む史上初の偉業って?
2019プロ野球後半戦、気になる記録。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2019/07/14 17:00
高卒2年目にして長打力が開花した村上宗隆。10代での打点王のタイトル獲得となれば、日本プロ野球史に残る快挙だ。
山田哲人が目指す前人未到の偉業。
<ヤクルト・山田哲人、「4回目のトリプルスリー」は?>
あまり騒がれないのは、山田哲人が毎年のようにトリプルスリーを達成してきたからだ。しかし、トリプルスリーは、NPBの歴史で12回しか達成されていない大記録だ。
しかも複数回達成したのは、山田哲人の通算3回だけ。偉大な記録なのだ。
今季の山田哲人は、前半戦終了時点で22本塁打、20盗塁、打率.279。
残り試合を考えたら、本塁打、盗塁は大いに可能性があるが、打率はこれからかなり挽回しないと厳しい。
今季の山田哲人は4月は好調だったが、5月、6月と月間打率が.250にも到達せず、不調だった。ただ7月に入ってから打率は3割を超え、バットは上昇傾向だ。
ここからのダッシュで、誰も達成していない「4回目のトリプルスリー」をぜひ目指してほしい。
田中広輔は不調から脱出できるのか。
<広島・田中広輔、37年ぶりの「規定打席到達の1割打者」の恐れ>
こちらはネガティブな記録だ。今季の広島打線のパワーダウンは、丸佳浩のFA移籍である程度予想はされていた。しかし、昨年まで「タナキクマル」トリオを組んでいた田中広輔の不振は、首脳陣としては大きな目算違いだろう。
現時点で田中は、298打数58安打、打率.195、セ・リーグ打率ランキング(規定打席以上)で最下位(30位)だ。
田中の月間打率は3、4月が.168、5月が.191、6月に.256。ここで一時持ち直したが、7月に入ってから.125。打撃不振は深刻だ。
田中は2017年には89四球を選び、.398でリーグの最高出塁率のタイトルを取っている。本来は選球眼も素晴らしい打者だが、今季の四球は29、出塁率は.267。こちらも苦しんでいる。
このままシーズンが経過して、規定打席に到達して打率1割台に終わると、1982年、巨人、山倉和博の.196(398打数78安打)以来、37年ぶりということになる。
絶不調なのに、ここまでレギュラーを替えることができなかったのは、2015年4月1日のDeNA戦から続く連続フルイニング出場記録があったからかもしれない。6月20日にこの記録が635試合で、翌日には連続試合出場記録も636試合で途切れた。
連続試合出場の呪縛から解き放たれた田中広輔には、奮起を期待したいところだ。