酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
村上宗隆が挑む史上初の偉業って?
2019プロ野球後半戦、気になる記録。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2019/07/14 17:00
高卒2年目にして長打力が開花した村上宗隆。10代での打点王のタイトル獲得となれば、日本プロ野球史に残る快挙だ。
阪神の4番大山が苦しむ三塁守備。
<阪神・大山悠輔、三塁守備で7年ぶりの低守備率>
少々つらい記録をもう1つ。
阪神は今季、大山悠輔を4番・三塁に固定している。主軸打者を育成しようという意図が見て取れる。打撃成績はやや物足りないが、それ以上に苦しんでいるのが三塁守備だ。
今季成績:78試合45刺殺153補殺15失策/守備率.930
規定試合に達している他の三塁手の守備率は、宮﨑敏郎(DeNA)が.978、ビヤヌエバ(巨人)が.972、高橋周平(中日)が.971だから、大山の守備率が際立って低いことがわかる。
三塁手で守備率が.930を割り込むのは、現代のNPBではめったに見られない。2012年に広島の堂林翔太が、143試合76刺殺278補殺29失策/守備率.924を記録して以来の水準となっている。
この年の広島も、一軍デビューした堂林を主軸打者に育てようと、守備に目をつぶって起用し続けたのだ。しかし失策数29は、この年の三塁守備率1位(.981)、森野将彦(中日)の4失策の7倍以上、守備面でのマイナスは大きかった。
失策が続けば、打撃への影響も出てくるだろう。数字から見て、大山にはぜひ守備を改善してほしいところだ。
故障しがちな荻野が首位打者チャンス。
<ロッテ・荻野貴司、プロ入り10年目で初規定打席、即首位打者?>
ロッテの荻野貴司は、2009年ドラフト1位でトヨタ自動車からロッテに入団。即戦力として期待され、1年目からリードオフマンとして起用された。
万全な体調のときは打ってよし、走ってよしで「右のイチロー」と言いたくなるような目覚ましい活躍をするが、故障が非常に多い。10年目の今年に至るまで、一度も規定打席に到達したことがない。
しかし今シーズンは故障もなく、81試合のうち73試合に出場、288打数95安打、打率.330。2位の秋山翔吾(西武)に3厘差をつけて首位に立っている。
プロ入り10年目で初規定打席、即首位打者となれば、2004年の嶋重宣(広島)以来2人目となる。ただし、嶋は入団時は投手で、5年目の1999年に野手に転向している。野手一筋である荻野とは状況が少し違う。
社会人から入団した荻野は33歳。苦労続きのプロ生活だったが、その実力は誰しもが認めるところ。遅咲きの花を咲かせてほしいものだ。