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日本で蒔かれた未来への種。
ジュニアゴルファーたちの祭典。 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byGetty Images

posted2019/07/10 07:00

日本で蒔かれた未来への種。ジュニアゴルファーたちの祭典。<Number Web> photograph by Getty Images

米国代表のミケイラ・モラード。今大会は16カ国87選手が参加した。

大会OBには松山・小平ら日本のトッププロも。

 トヨタジュニアワールドカップはその名の通り、サッカーのワールドカップを念頭に1992年に第1回(女子は2015年から)が行われた。徐々に規模は拡大し、今年は世界6大陸、70カ国以上が各地域での予選に参加。男子は15チーム、女子9チームが予選を勝ち上がって日本での本大会にやってきた。

 大会のOBには松山英樹や小平智といった日本人トッププロだけでなく、リオ五輪金メダリストのジャスティン・ローズやヘンリク・ステンソンといったメジャー覇者が名を連ねている。今年のマスターズでは23人、昨年末の男子世界ランキング上位100人のうち28人が歴代参加選手だったという。

 日本らしい滞りのない大会運営と、選手の誰もが驚くメンテナンスの行き届いたコース。ジュニアのビッグイベントとして定着し、先のウガンダも3月にボツワナで行われたアフリカ予選で南アフリカに次ぐ2位となって日本行きの切符を勝ち取ったのである。

 ホスト国となる日本代表も男女ともにしっかりと存在感を示した。男子団体戦は南アフリカが独走したものの、日本はスペインとの接戦を1打差で制して前年の4位を上回る2位を確保した。

世界との差を肌で感じることの意義。

 ただし、全国高校総体覇者の宇喜多飛翔(関西高)は「1Wで相手の3Wに飛距離で負けた」と南ア勢の段違いのパワーにカルチャーショックを受け、日本ジュニア王者の杉浦悠太(福井工大附福井高)も「世界の選手と戦える飛距離を身につけないと」とその差を痛感していた。

 彼らにとっては成績以上に肌で感じた世界レベルこそが将来の糧となったに間違いない。

 女子は安田祐香らプラチナ世代と呼ばれた選手たちを擁した昨年より戦力では劣ると見られていたが、米国やメキシコに競り勝って連覇を決めた。

 チーム最年少の15歳で、個人戦でも日本勢最高の4位に食い込んだ梶谷翼(滝川二高)は「このチームで優勝できてうれしい。このチームじゃなきゃ優勝できなかった」と語り、山下美夢有(大阪桐蔭高)も「練習ラウンドから協力して全員で考えてやるのが団体戦なんだと思った。個人で国際大会に出るのとは少し違った」と独特の雰囲気を楽しんだようだ。

 試合以外でも選手たちは大きなものを得たようだ。むしろそっちの方が大事だったかもしれない。

【次ページ】 他国の選手の輪に飛び込む高校生も。

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