球体とリズムBACK NUMBER
3つの問いをクリアでマリノス2位。
2年目のアンジェ体制はここが違う。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/06/25 11:30
ポステコグルー監督のもとで好調をキープするマリノス。結果が出ることでチームも一層団結しているようだ。
大津がエジガルの決勝弾をお膳立て。
その天野が「前でやりたい気持ちもあるけど、折り合いをつけて」低めからの配球を担うと、マリノスは徐々に帆を張るようになる。
適切に風を捕らえ始めた船は、フレッシュなクルーが投入されたことにより、さらに勢いを増した。
64分、山田と交代したのは大津祐樹。今季、リーグ戦では1度の先発にとどまっているものの、リーグカップでは2得点を記録する背番号7は、「外から見ている時、足元へのパスが多かったので、自分が出たら背後のスペースをどんどん突いて行こう」と考えていた。
そして80分、ダイナミックに左サイドの奥に駆け込み、並走する旧友の今井智基との競り合いを制して、右足のアウトサイドでボールを折り返す。すると中央でうまく反転して受けたエジガル・ジュニオが右足で4試合連続となるゴールを挙げ、J1得点ランキングで単独首位に。この1点が勝負を決した。
喜田「最後のひと刺しができた」。
「こういう難しいゲームをしっかり勝ち切るのは、とても大事なこと」と話したのは主将の喜田だ。
「崩れず、最後にひと刺しできました。これまではなかなか、こんな展開の試合を見せられなかったので、その意味では成長と言えるでしょうか」
5月のJ1月間MVPに輝いた背番号8は前節の逆転負けは、「生かさないといけない」ものだったと言う。
「長いシーズン、こういう試合もあるよね、と言って終わりにしたくなかった。あれから学ぶべきものは本当にたくさんあったと思います。あの悔しすぎる結果はもう戻ってこない。だからシーズンが終わった時に、あそこがポイントだったと振り返られるぐらい、意味のあるものにしないといけない」
公式記録には、攻撃的MFの代役の代役が決勝点をお膳立てしたことが記されている。
スクアッド(陣容)全体が激しい生存競争のうえに成り立ち、控えのクオリティーもレギュラーと遜色ないこと──しかもタイプは多彩──がわかる。