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森重真人が今、明かすW杯落選。
昌子源へのLINEとJ1制覇への決意。
posted2019/06/21 11:45
text by
占部哲也(東京中日スポーツ)Tetsuya Urabe
photograph by
J.LEAGUE
あれから1年――。古い話にちょっとだけお付き合い願いたい。
2018年6月13日。初夏を迎え、緑の葉を茂らせる木々に囲まれたFC東京の練習場は、W杯“休暇”で誰もいないはずだった。日本代表以外の選手は4年に一度の貴重なバカンス期間。
だが、たった1人で走る男がいた。
森重真人。
W杯2大会連続出場を渇望したが、手が届かなかった。ロシア大会の日本代表予備登録メンバーには入ったが、重度のけが人が出なければ入れ替えはない厳しい状況。それでも、「小さな火」を自ら吹き消すことはなかった。
檜舞台の裏ではもう1つの闘いがあった。
99.9%ダメでも、足を止めない森重。
ロシアW杯開幕前夜。旧知の記者から連絡が入った。
「モリゲ。体を動かしていますよ」
西野ジャパンは本大会前の最後となる親善試合・パラグアイ戦('18年6月12日)を終えた時点で、DF陣に負傷者はなし。初戦のコロンビア戦(同6月19日)の24時間前までメンバーの入れ替えは可能だが、逆転選出は限りなく「0」に近づいた。
99.9%報われない努力かもしれない。だが、それが足を止める理由にはならなかった。
取材で滞在したロシアの地でそれを知り、素直に頭が下がった。「あぁ。すげーな」と胸の奥が熱くなった。森重がW杯でプレーする勇姿は見られなかったが、それ以上の何か大切なものをもらった気がした。