球体とリズムBACK NUMBER

3つの問いをクリアでマリノス2位。
2年目のアンジェ体制はここが違う。 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE

posted2019/06/25 11:30

3つの問いをクリアでマリノス2位。2年目のアンジェ体制はここが違う。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

ポステコグルー監督のもとで好調をキープするマリノス。結果が出ることでチームも一層団結しているようだ。

「自陣でのパスが多すぎたんだ」

「前半は相手に楽に陣形を作らせてしまい、彼らの望む展開に持っていかれた」とポステコグルー監督は試合後の会見で語った。

「(松本は)守備の強いチームで、うちの攻撃を断って逆襲につなげていった。こらちの問題は前線ではなく、その後ろにあった。自陣でのパスが多すぎたんだ」

 横浜は序盤こそ、マルコスの代役に指名された山田康太がボックス内から、天野純が直接FKから連続でゴール枠を強襲したものの、以降は監督の言葉通り、松本にペースを握られていった。

「去年なら、勝てなかったかもしれない」と指揮官は続けた。「だが選手たちは精神面の重要性も理解し始めている。そして少し修正を加えた上で、我々のやり方を貫いていった」

天野のポジションを下げた理由。

 5月のJ1最優秀監督に選ばれた53歳の戦術家は、天野のポジションを下げて中盤を逆三角形から正三角形気味に変更。その理由をこう説明する。

「前半の問題は選手がポジションに固執したようなところにあった。私たちのフットボールに、選手の決まった立ち位置は存在しない。また前半は動きが足りなかった。松本が引いて守ってくることがわかっていたから、うちの選手は前目で攻撃をしたかったのだろう。だが、前に入るのが早すぎたんだ。

 天野純には1試合あたり、50~70本のパスを出してもらわなければならない。しかし今日の前半は10本ほど。その理由は前に行こうとしすぎたからだ。だからそこを修正した。

 繰り返すが、このチームには選手それぞれの決まったポジションはない。我々のシステムは常に動き続けるものだ。サイドバック、センターバック、MF、FW、そしてGKも動かなければならない。ナンバー10も、ナンバー6もない。マリノスでプレーする選手なら、ボールを持った瞬間に(指をパチンと鳴らして)、スペースを探して、そこへ動かなければならない」

【次ページ】 大津がエジガルの決勝弾をお膳立て。

BACK 1 2 3 4 NEXT
横浜F・マリノス
アンジェ・ポステコグルー

Jリーグの前後の記事

ページトップ