球体とリズムBACK NUMBER
3つの問いをクリアでマリノス2位。
2年目のアンジェ体制はここが違う。
posted2019/06/25 11:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
J.LEAGUE
重たい曇天の下で収めた1-0の勝利――。
空の色やスコアと同様に内容も渋かったと言われたら、否定はできないだろう。実際、ホームで苦しみながら松本山雅を下した横浜F・マリノスの面々は、「我慢比べみたいな試合」(喜田拓也)、「じれた展開」(仲川輝人)と振り返っている。
ただし、この3ポイントの持つ意味は大きい。
横浜はこの日(6月22日のJ1第16節)を4位で迎え、後ろには勝ち点2差で続くチームが2つあった。15年ぶりのリーグ優勝を射程圏内に捉え続けるためには、14位の松本とのホームゲームは確実にモノにしなければならなかったわけだ。
三好、マルコスが不在の中で。
また前節には、これ以上ないほど悔やまれる敗北を喫している。1週間前の清水エスパルス戦では、1-1で迎えた終盤に仲川が勝ち越し点を決めながら、89分とロスタイムに立て続けに被弾して敵地に歓喜を献上した。
仲川の得点の直後に、マルコス・ジュニオールが2枚目の警告(GKから戻されたボールを大きく蹴って遅延行為と判定された)を受けた影響もあったかもしれない。いずれにせよ、チームは「本当に落胆」(アンジェ・ポステコグルー監督)し、そこからどう反応するかが試されたのである。
加えて、中盤には出場停止のマルコスと、コパ・アメリカに参戦中の三好康児がいない。2年目のオーストラリア人監督が掲げる攻撃的なスタイルの根幹を担うミッドフィールドの構成も注目された。
上位チームにふさわしいしぶとさ、立ち直る力、選手層――。結果的に、ポステコグルー監督と選手たちは、その3つの問いをすべてクリアした。
たとえ、満点回答ではなかったとしても。